作成者別アーカイブ: なつめれいな

「女らしさ」という固定観念の正体とは何?『さよならミニスカート』

ステレオタイプ的な男性像・女性像は、近年薄れつつあります。実際に女子生徒の3割がスラックスを選んでいる学校もあるほどです。しかし、「セーラー服=女子学生の制服」という固定観念が、いまだにあるのも厳然たる現実。

しかし、それらは誰かが勝手に作った虚構の中に存在するものかもしれません。そこで、ジェンダーや家族・友情について考えるきっかけとして紹介したい作品が、牧野あおい先生の『さよならミニスカート』です。本作は2018年の連載当初から大きな反響があり、2020年の「このマンガがすごい!」オンナ編で第1位に輝きました。 続きを読む

児童養護施設の闇を描く社会派マンガ!『それでも、親を愛する子供たち』

こども家庭庁の統計によると、令和4年度児童相談所における児童虐待相談対応件数(速報値)が3年連続で20万件超えの219,170件ありました。平成23年度が59,919件なので、この10年で約3.5倍増加した計算です。

このように年々過酷になっている児童虐待の現実を描いたのが、押川剛先生原作、『「子供を殺してください」という親たち』で作画を担当した鈴木マサカズ先生が構成担当、うえのともや先生が作画を担当した作品が、今回ご紹介する『それでも、親を愛する子供たち』です。 続きを読む

あなたにとって大切な想いは何ですか?『たったひとりの君へー牧野あおい作品集ー』

老若男女問わず、それぞれにとって大切にしたいものがあります。ある人にとっては恋愛、他の人にとっては友情もしくはそれらに代わる何かかもしれません。たとえ何らかの形で終わりを迎えたとしても、それは永遠にその人の心のなかで残るものです。

そんな甘酸っぱいような、ビターなような想いを抱えた人たちに向けた作品として、今回は牧野あおい先生の『たったひとりの君へー牧野あおい作品集ー』を紹介します。本作は、2009年から2018年にかけて発表された短編集です。 続きを読む

50歳差のシスターフッドストーリー『そしてヒロインはいなくなった』

あまり良くないことだと思いつつも、ついついかつて好きだった人のことを未練たらしく思い出してしまう経験を持っている男女は、あえて誰にも言わないだけで実は多いのではないでしょうか。

実際、自分で抉ろうとしたらかなり深い傷だったというのも、よくある話です。そんな女性ふたりが、誰にも言えない恋心を癒やす物語として、ばったん先生の『そしてヒロインはいなくなった』を紹介します。 続きを読む

ポールダンスとの出会いが少女の運命を変える!『POLE STAR』

皆さんは、ポールダンスをご存知ですか? ポールダンスとは、垂直な一本の棒を使って、昇り降り・スピン・倒立など体操に似た技を複雑に組み立てて行うダンスです。当然のことながら、高い柔軟性と筋力が求められます。

大衆向けのショーのイメージを持たれがちなポールダンスですが、少しずつエクササイズや競技としての普及もなされており、大会も存在しています。そんなポールダンスに魅せられた少女の成長を描く物語が、NON先生の『POLE STAR』です。 続きを読む

母から娘に受け継がれる「NO」の系譜『彼女はNOの翼を持っている』

されて嫌なことの基準について、考えたことがありますか? 当然ながら、誰にもされて嫌なことがあるでしょう。また、あなた自身にされて嫌なことがあるはずです。そんな時、あなたは「NO」の意思表示をできていますか?

とは言っても「人から嫌われるのでは?」「断ったら居づらくなるかも」などの理由で、断れないことのほうが多いかもしれませんね。そんな誰もが持っているはずの「NO」を大事にする女子高生の物語が、ツルリンゴスター先生の『彼女はNOの翼を持っている』です。 続きを読む

グラウンド整備にかける人たちの物語!『あめつちのうた』

野球に興味ある人もいれば、まったく興味ない人もいます。そんな興味がない人でも、一度は聞いたことのある言葉が甲子園球場です。さて、甲子園球場で何を連想しますか? 多くの人は、プロ野球の阪神タイガースもしくは高校野球と答えるでしょう。

甲子園球場は、内野が土で外野が天然芝。茶色と緑のコントラストが美しい球場です。その土と芝は、阪神園芸が管理しています。そこで働く青年を主人公にしたマンガが『あめつちのうた』です。本作は、朝倉宏景先生同名小説を、オノハラ先生作画でコミカライズしました。 続きを読む

テレビ局の裏側を描く!『チャンネルはそのまま!【HHTV北海道★テレビ】』

情報を得るための手段は、テレビや新聞、雑誌のほかインターネットがあります。総務省の調査では、情報源・娯楽としての重要度および各メディアの信頼度においてテレビをあげる人が全年代で多いという結果です。

近年ではインターネット(SNS)に押され気味なイメージもある中、今でもテレビは一定の影響力を持っています。そのテレビ局で働く人をテーマにした作品が、佐々木倫子先生の『チャンネルはそのまま!【HHTV北海道★テレビ】』です。 続きを読む

看護師 vs やっかいな患者とのトライアルアンドエラー『おたんこナース』

病院で連想する言葉を聞かれたら、あなたはどう答えますか? こう質問をされたら、多くの人は「医師」もしくは「看護師」と答えるのではないでしょうか。実際、看護師は患者さんのケアを行う仕事なので、チーム医療で中心的な存在です。

さて、白衣の天使と呼ばれることが多い看護師。その実態は、患者さんのケアや医療補助にと忙しい仕事です。その姿を見ていると、白衣の戦士のほうが似合うのではないかと思うこともよくあります。そんな看護師の実際を描いたマンガが、佐々木倫子先生作・小林光恵先生監修の『おたんこナース』です。 続きを読む

地域住民の健康を守るために奮闘するお仕事を描く『保健師がきた』

医療関連の資格は、種類もさまざま。その中に保健師という資格があります。具体的な仕事内容は、地域の人たちに向けた保健指導や健康相談などです。ただ、看護師・助産師のようにあまり知られていない現実があります。

実際、就職先も市区町村にある保健センターや役所が多く、医療機関で見かける機会が少ないのは確かです(出典:マナビジョン)。今回は、コロナ禍で活躍した保健師の仕事を描いた埜納タオ先生の『保健師がきた』を紹介します。 続きを読む