11月23日、劇場版『PERSONA3 THE MOVIE #1 Spring of Birth』(以下、『P3』)がスタートした。
ゲーム『ペルソナ3』といえば、独特の世界観を描く深いストーリーと、それを彩るスタイリッシュな映像と音楽が特徴的。アトラス(現インデックス)から2006年に発売されたPlayStation 2用ゲームソフトで、『ペルソナ』シリーズの第3作目となる。発売から実に7年の歳月が経ち、「何で今さら?」という声もある。しかし、そんな声も余りあるほど、本作へのアニメ・ゲームファンからの関心は高い。 さて、劇場版『P3』は、果たしてどんなアニメ映画に仕上がっているのか。筆者も映画鑑賞に行ってきた。
かなり面白かった、というのが筆者の感想。第一に、ゲームではポリゴンだった映像(特にペルソナ召還時)が、美しいアニメで観られるのがいい。そして、ゲームサウンドが映画サウンドに生まれ変わっているのに感動した。しかし、何よりファンの心をくすぐったであろう演出は、懐かしいゲーム操作画面が随所に出てくることだ。日付を示すカレンダーの画面では、つい「お!」と言ってしまったファンも多いはず。
やや原作のムービーをつなぎ合わせただけと感じる、ぶつ切り展開もあるものの、おおむねスムーズにストーリーが進む。ゲームプレイ中は、もう少し説明がほしかった、と思った仲間のバックグラウンドは上手に組み込まれている。ただ、劇中にも登場する謎の少年ファルロスと主人公・結城理の声が同じ声優・石田彰であるところは、少々違和感を覚えた。劇場版を未鑑賞のファンがしきりに心配している、「主人公がしゃべること」には抵抗がなかったが……。原作ファンの方に、ぜひ感想を伺ってみたい。
一つだけ残念に思うのは、やや“原作ファンしか楽しめない”作りになっているところ。前後の脈絡なく「ベルベットルーム」が現れても、原作をプレイしていない人には、おそらく意味がわからない。原作未プレイの人は、ストーリーの予習をしてから観に行くことをおすすめする。
第2弾「early summer」は2014年初夏に公開予定である。何部作になるのかの情報はまだ出ていないものの、春、夏とくればおそらく4部作だろうか。なにはともあれ、ファンにとっては、懐かしくも新しい序章が観られたはずだ。劇場では、エンドロールが流れても席を立たないように注意が必要。第2弾につながる重要なシーンが隠されている。見逃すことなかれ。
【コミックスデータ】
『ペルソナ3』
作者:曽我部修司
出版社:アスキー・メディアワークス
刊行状況:6巻(続刊)
【関連URL】
・劇場版『PERSONA3 THE MOVIE #1 Spring of Birth』公式サイト
http://www.p3m.jp/