HK/変態仮面 アブノーマル・パック[DVD]

【原作編】蘇った伝説のカルト漫画『究極!!変態仮面』レビュー

HK/変態仮面 アブノーマル・パック[DVD] 【あらすじ】
刑事の父(ドM)と女王様アルバイトの母(ドS)から生まれた色丞狂介(しきじょう きょうすけ)は、正義感あふれる高校生で拳法部のホープ。普段は不良をやっつけるなど品行方正な狂介だが、彼には誰にもいえない秘密があった。女性のパンティを顔にかぶることで潜在能力をフルに引き出し、無敵のヒーロー「変態仮面」になれるのだ。その常識離れしたパワーで憧れの美少女・愛子ちゃんの危機を救ったりした狂介だが、活躍するたびに自分の股間と性癖を見られなければいけないジレンマに苦悩するのであった……。

【みどころ】
週刊少年ジャンプの黄金期まっただ中、1992年から翌年まで連載された伝説の怪作。当時連載中の『ドラゴンボール』では孫悟空・悟飯親子が世界の命運を賭けてセルゲームに挑んでいる頃で、まさかその同じ雑誌に“パンティを被って変身するヒーロー”が登場するなど誰が予測できただろうか? しかし『変態仮面』が読者に与えたインパクトは絶大であり、連載終了から20年が過ぎた現在でも熱烈なファンは多い。ファンとしては俳優の小栗旬が有名で、彼の後押しもあって今年2013年には劇場映画になった。

劇場版レビューは次回の記事でやるとして、ここでは原作の見どころを紹介したい。何といっても注目したいのは主人公の特異な変身方法であり、ビジュアルであり、繰り出される(おもに股間を活用した)変態秘奥義の数々だろう。変態仮面の見た目はまごうかたなき“変態”で、顔にはパンティ、足にストッキング着用、股間は白ブリーフ1枚という通報スレスレ――むしろアウトな姿。銀行強盗やチカンなどの悪党も、まずこの姿を見て爆笑し、変態仮面のペースに巻き込まれていく。

そして、もともと狂介が身につけていた拳法の技に変態パワーが加わった“変態秘奥義”は読んでいて軽くドン引くほどのインパクトだ。敵に股間を押し付けながら地面を疾走する「地獄のジェットトレイン」、敵の首にロープを巻き付け股間で綱渡りしながら押し当てる「地獄のタイトロープ」など、まさに股間づくし。努力・友情・勝利という少年ジャンプのキャッチフレーズを真っ向から打ち破る、“脱衣・股間・勝利”の展開に小中学生を中心とした読者は大いに沸いた。

作者の連載デビュー作ではあるが、絵柄・ストーリー・キャッチーな台詞などは序盤からほぼ完成の域にあり、いま読み返してみても大いに楽しめる。映画製作に先がけて2009年から文庫版も販売されているため、入手するにもそれほど困らないだろう。少年漫画の長い歴史においても本物の「伝説」と呼べる数少ない作品なので、機会があればぜひ一読してみてほしい。

【作品データ】
・作者:あんど慶周
・出版社:集英社
・刊行状況:全5巻(文庫版)

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