【あらすじ】
都内のAMラジオ局・ラジオ雛菊。午後11時から始まる「MNM(ミッドナイトムーン)」。
担当アナウンサーの天羽日向(あもうひなた)をはじめとするスタッフたちは、番組作りに励む。そして、リスナーたちは番組を聴き、ハガキを送る。
満ちた月の夜も、欠けた月の夜も、変わらず誰かに届くメッセージ。様々な思いを胸にラジオに耳を傾ける人々のオムニバスストーリー!
【みどころ】
日本でラジオ放送が始まったのは、大正時代。その後、ラジオ講座を聞く受験生、深夜放送をかけてトラックを走らせる運転手たちなど、ラジオは多くの人々に愛されてきました。
今でこそ、ブログなどタレントのパーソナルを知ることができるメディアがいくつもありますが、かつてはそれらの大部分もラジオが担っていたように感じます。ラジオでアーティストが話すのを聴いて、思わぬ素顔を知ることができ、ますますファンになった…そんな経験がある人も多いのではないでしょうか。
「MNM(ミッドナイトムーン)」の担当アナウンサー・天羽日向は、「何人かで聞いていても、届くのはそれぞれの耳。一人一人の“あなた”に向けて伝えるのがラジオ」という理想を抱いてマイクに向かいます。
ラジオ番組を聴いているとき、パーソナリティーと一対一で会話をしているような気持ちになるときがあるものですが、それは、映像ではなく、音と声だけの世界だからこそなせる業ではないでしょうか。聞いている人の耳に、そして、心に語りかけることができることは、ラジオ独自の大きな魅力です。
一人一人の“あなた”の心に響く、思いが伝わる。
『満ちても欠けても』は、そんなラジオだからこそ起こせる奇跡を描いた物語。
しかし、これは決して夢物語ではなく、今、この瞬間にもどこかのラジオ局で起きているかもしれない奇跡なのです。
【作品データ】
・作者:水谷フーカ
・出版社:講談社
・刊行状況:1巻(続刊)