【あらすじ】
思わぬ人助けに失敗して、地下鉄事故で死んだはずの玄野計と加藤勝は、気がつくと東京タワーの見えるマンションにいた。そこには知らない顔ぶれが並んでおり、それぞれが「死んだはずの人間」だった。「ガンツ」と呼ばれる黒い玉に命令されるがまま、謎の星人を倒していく玄野たちだったが、やがてそのターゲットが玄野の恋人になってしまう。その時玄野は……?!
【みどころ】
二宮和也さんと松山ケンイチさんの最強コンビで実写映画化もした、シリーズ累計2000万部突破のソリッドSFアクションコミックが、ようやく完結した。実写映画では残酷なまでのエンディングだったが、コミックでは奥浩哉先生の書きたいままに書いたというだけあって、SFアクションとしての感動のラストが描かれている。
初めは玄野計(くろの・けい)と加藤勝(かとう・まさる)は手探りでなるべく誰も死なないように、相手も殺さないように闘っていくが、事態はそうもいかなくなる。自分の命を守るために相手を殺し、全員で助かるために協力し合わなければならないと気付くのだが、「ガンツ」の世界にやってきたばかりの人間は誰も耳を貸さずに死んでいく。
やがて「ガンツ」の出す敵に、玄野の恋人、小島多恵(こじま・たえ)が選ばれる。何故星人でもない彼女が……?玄野は全力で彼女を守り、協力する仲間もいるが、敢え無く多恵は殺されてしまう。100点を取って必ず多恵を生き返らせると誓った玄野は、修羅のように闘う。他にも死んでしまった加藤を生き返らせてもらったり、レイカに二重に再生させられる玄野。
やがて闘いは世界規模になっていく。得体の知れない巨大な異星人が地球人をさらい、食し、なぶり殺す中に、多恵はいた。玄野は全力で彼女を探し、救う。しかし、異星人に名指しで闘いを挑まれ、玄野が負けた時、地球は消滅することになる。玄野は闘う。地球なんか、人類なんか、どうでもいい。ただ、俺は多恵ちゃんのもとに帰る!それだけの気持ちで、自分を信じて闘う玄野は、子供の頃加藤が憧れた「計ちゃん」だった。
最初は意味のわからないままに「ガンツ」に闘わせられる人々だが、やがて世界規模になっていくさまはまさに本格SFアクション漫画そのもの。残虐なシーンはあるが、純愛あり、友情あり、涙ありの感動話題作だ。長編だが、最後まで駆け抜けて読みきりたい。
【作品データ】
・作者:奥浩哉
・出版社:集英社
・刊行状況:全37巻