同人ゲームから始まり、今やその名は誰でも知っていると言っても過言ではないホラーゲーム「ひぐらしのなく頃に」。過去記事についてはこちらを参照。
【参考記事】
・今さら聞けない『ひぐらしのなく頃に』入門講座 ~原作編~
・コミック版『ひぐらしのなく頃に』を紐解く・その一『鬼隠し編』
・コミック版『ひぐらしのなく頃に』を紐解く・その二『綿流し編』
・コミック版『ひぐらしのなく頃に』を紐解く・その三『祟殺し編』
今回はコミック版第四弾、主人公は古手梨花と、東京のエリート刑事赤坂衛が登場の『暇潰し編』です。
【あらすじ】
昭和53年、建設大臣の孫が誘拐された事件で、雛見沢に派遣された赤坂衛(あかさかまもる)。文武両道で、病弱な妻想いの赤坂は、間もなく父になるはずだった。訪れた雛見沢では、本部で聞いていた話とはまったく違う、のどかな田舎町という印象。そこで小学校に上る前の古手梨花(ふるでりか)に出会う。いつもとは豹変した梨花に「東京へ帰れ」と言われ、自分の命の危険を察知されたのかと思いながらも、仕事に専念する赤坂。しかしその言葉の本当の意味は……!
【みどころ】
自作『Doubt』『JUDGE』などで、心理的ホラーを描くのが上手な外海良基氏が作画担当の本編。小さい頃の梨花の愛らしさにも、赤坂のイケメンぶりにも愛着が湧く絵柄になっている。あの大石でさえ、なんだかいい人になっているから不思議なものだ。
最初の見どころは、大石たちにカモにされて麻雀を打つシーン。子羊のような赤坂が実は、どこの雀荘にも出入り禁止を食らうようなスーパー雀士だったことが面白い。病弱なのに恐妻の赤坂の妻、雪絵の描写もホッとさせるところは、相変わらずホラー漫画だということを忘れさせられる。
しかし1巻の後半からが『ひぐらしのなく頃に』の醍醐味に入ってくる。鬼ヶ淵死守同盟のデモに出くわし、驚く赤坂の前に梨花がやってくるが、その騒音で何を言っているのか聞き取れない。大切な梨花の言葉を何度も聞き逃し、赤坂にはやがて悲劇が訪れる。
建設大臣の孫を救出するシーンでは、圧巻のアクションシーンの連発で、赤坂と大石との連携プレーに胸を撫で下ろした読者も多いだろう。やがて赤坂は梨花から誰にも話したことのなかった真実を聞かされる。それでも救えなかった梨花の命……。7年後に大石と再会した時に気づいた時、赤坂は梨花を救う決意を新たにするのだった。
【作品データ】
・作者:原作・監修/竜騎士07 作画/外海良基
・出版社:スクウェア・エニックス
・刊行状況: 全2巻