【連載】魔法少女の系譜 vol.5『5年3組魔法組』

魔法少女の系譜、今回は少し趣向が変わりますが、東映の特撮番組『5年3組魔法組』です。

第1回『魔法少女ララベル』はこちら
第2回『魔法の天使クリィミーマミ』はこちら
第3回『魔法の妖精ペルシャ』はこちら
第4回『魔法のスターマジカルエミ』はこちら

【作品紹介】
ショースケ、ガンモ、チクワ、ハテナマン、ミコは東町小学校5年3組の仲よし5人組。 ある日、ショースケが蹴った缶が歩いていた女性にぶつかってしまう。ショースケは、女性を自分の家につれていき手当てをするが、その女性の正体は魔女のベルバラ。ショースケたちを気に入ったベルバラは、魔女バッグを彼らに授ける。 「アバクラタラリン・クラクラマカシン」の呪文とともに、バッグに入っている不思議な道具を使って活躍したり、ときには大失敗やしっぺ返しも食らったりしながら、5人の冒険&トラブル三昧の日々が始まった…

【みどころ】
2013年6月24日からYouTubeにて配信が始まった懐かしの特撮番組『5年3組魔法組』。

この作品は、「魔女」「魔法少女」を実写で痛快に、そして、とても自然に描いている傑作です。 等身大の5年生の仲よし5人が魔法の力をもらって大活躍する姿が当時の子どもたちの心をつかみ、5年生になったときに「3組」になることが、 少し誇らしいことにもなりました。

*タイプの違うヒロイン・ショースケとミコ
さて、こちら『魔法少女の系譜」ということで、主人公の5人組の中でも、まず女の子2人、ショースケとミコに焦点をあててみたいと思います。
ショースケ(本名:小原アサコ)は、5人組の中でも中心的なヒロイン。そもそも、魔法のバッグを手に入れたのも彼女が魔女ベルバラに缶をぶつけたことがきっかけでした。 ジーンズに帽子をかぶったボーイッシュな姿が印象的で、野球などのスポーツも得意。活発でお転婆なショースケですが、中身は優しい女の子。 ベルバラが5人を気に入ったのも、ショースケが彼女を心配し、手当てしようとする思いやりがあったからこそのことです。
一方もう一人の女の子・ミコ(本名:田代ミツコ)は、ジャケットやスカートなどを身に着けることが多く、フルートを吹いたり、毬(まり)を大切にしていたりとみるからに女の子らしい女の子。しかし、新しい音楽の先生の厳しさに反発して、他の子たちが止めるのも聞かず魔法で仕返ししようとし、しかし、先生の真意を知ったとき、しっぺ返しが来るのを覚悟で先生のために魔法を使うなど、おとなしそうな外見とは裏腹な気の強さを見せます。
勇敢だけど優しいショースケ。女の子らしいけれど芯は強いミコ。 この二人もまた等身大の魔法少女であり、それぞれの異なる魅力が作品を引き立てています。

もちろん、魅力的なのは女の子2人だけではありません。 腕白な太っちょ・ガンモ、「ハテナ?」が口ぐせの利発なハテナマン、メガネで一見優等生風だけれど、おっちょこちょいなチクワ。 彼らはみんな、いいところも欠点もある子供たちで、テレビを見ていた当時の子供たちは、彼らに親しみを持たずにはいられなかったと思います。

*魔女ベルバラ 曽我町子の大ハマリ役
この作品、5人組とともに重要なキャラクターが、魔女ベルバラです。
ショースケを気に入って、魔女バッグを彼らにさずけるベルバラ。この話だけを聞けばベルバラはいい魔女のように聞こえるかもしれません。
ところがどっこい、ベルバラは意地悪大好き、いたずら大好き、わがままで気まぐれ。

子供たちがピンチに陥ると、面白がって引っかきまわし、子どもたちがいいことをしようとすると「それじゃ、つまらないじゃないか」とすかさず邪魔に入ったり、その姿はまさに意地悪魔女以外の何者でもありません。

しかし、性格は悪いけれど、ドジで愛嬌がある。そして、子どもたちのことを根っこでは気に入っている。 困った大人ですが、不思議と憎めない魅力がある魔女。それがベルバラです。

このベルバラを魅力的なキャラクターにしたのは、この魔女を演じた「特撮の女王」として名高い女優の曽我町子氏です。
魔女が登場するアニメや特撮は数知れずですが、曽我町子氏は、多くの作品で魔女や悪の女王を演じ、 まさに特撮界における「魔女」のスタンダードを築き上げた唯一無二の名女優。
魔女ベルバラは、そんな曽我氏の大はまり役の1つです。
意地悪なのに親しみやすい、そして魔女らしい妖しさも兼ね備え、魅力にあふれたベルバラの演技は本当に素晴らしく、 さすが特撮の女王としかいいようがありません。
曽我町子氏といえば、『電子戦隊デンジマン』のへドリアン女王、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』の魔女パンドーラ役などが有名ですが、この魔女ベルバラは、この特撮界の女王・曽我町子氏が正真正銘の「魔女」を演じたもう1つの代表作なのです。

【5年3組魔法組とまんが】
『5年3組魔法組』は、放映当時、雑誌「てれびくん」「テレビランド」などで、コミカライズもされていました。
「てれびくん」でコミカライズを担当していたおだ辰夫氏のHP(http://odamanga.com/)では、「works」のページに『5年3組魔法組』も仕事歴として紹介されています。

さて、この『5年3組魔法組』は現在、東映株式会社のYouTube公式チャンネル「東映特撮 YouTube Official」にて、毎週2話ずつ配信中です。(2013年7月現在)
ここまで読んでくださって、ショースケら5人組や魔女ベルバラに会いたくなった人たち、今ならネットで彼らの活躍を楽しめますので、お見逃しなく!

 

【関連URL】
東映特撮 YouTube Official
http://www.youtube.com/user/TOEIcojp

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