主人公・二郎の声を映画監督である庵野秀明氏が演じたり、エンジンなどの効果音に人間の声を使うなど実験的な音響効果でも話題になっているこの作品の原画展が、映画の封切と同じ7月20日から西武池袋本店にて開催される。
同展は徳間書店から刊行されているアニメーション美術本『ジ・アート』シリーズとの共同製作。イメージボードや登場人物などの設定画、背景画など、映画製作にあたって描かれた数々の原画や資料100展以上が公開される。
映画本編を観てから訪れて感動を新たにするもよし、さきに同展を観てから映画を観て深く楽しむもよし。本来は一般の目に触れる機会のない貴重な原画、ぜひ足を運んでその手仕事の迫力を感じていただきたい。
【風立ちぬ原画展】
会期:2013年7月20日(土)~29日(月) 午前10時~午後8時(入場は閉場30分前まで)
会場:池袋西武本展別館2階=西武ギャラリー
入場料:一般・大学生500円(高校生以下無料)
詳細は西武池袋本店
https://www2.seibu.jp/wsc-customer-app/page/010/dynamic/top/Top
の中の特設ページ
https://www2.seibu.jp/wsc/010/N000058443/0/info_d
を確認してほしい。
さて、筆者も先日、試写会にて映画本編を鑑賞してきた一人である。
ストーリー本編に触れることは避けるが、ややネタバレを含むので予備知識なしにご覧になりたい方は以下はご覧にならないようお勧めする。
注目を集めている庵野秀明氏の声については、個人的には気にならなかった。中年というべき世代の氏が主人公の青年期から演じるのには無理があるという声もあるようだが、元々アニメーションのキャラクターを同年代の声優が演じること自体がまれであるのだし、そこは目をつぶってもよいだろう。
映像と物語はひたすら「美しい」の一言。
二郎の夢の世界はもちろん、大正から昭和にかけての日本の田園風景や未舗装の道路の町並み、そこに生きる人々の強さや優しさ、どれをとっても心が洗われるほどに美しい。
主人公の半生記という性格上何度も時間が大きく跳躍するのはやむを得ないのだが、その割に説明不足、描写不足の感は否めない。しかし、現実の過酷さから一歩身を退き、世界の醜さを注意深くとりのぞいたことで「風立ちぬ」は観る者に感動と癒しをもたらす物語として完成したと思う。
庵野秀明氏の声も含め、すでに鑑賞した一般ネットユーザーの感想では賛否両論あるようなので、ここはぜひとも自分の目と耳で判断していただきたい。