自分らしく生きたいと願う双子の物語『ふたごチャレンジ!』

電通グループの「LGBTQ+調査2023」によると、LGBTQ+当事者の割合は9.7%です。学校の1クラスを40人とすると1クラスに4人、10人以上の従業員がいる会社であればその中に1人は当事者がいると推測されます。

こうしたジェンダー問題を理解する一助として紹介したいのが、七都にい先生原作、しめ子先生作画の『ふたごチャレンジ!』です。小説は角川つばさ文庫で刊行され、第9回角川つばさ文庫小説賞で金賞を受賞しました。小説・コミック版とも、マイノリティなどこれまで光が当たることのなかったジャンルを扱うKADOKAWAの新マンガブランド「CandleA」の作品です。

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【作品紹介】

本作の主人公は、小学4年生の双子。双葉あかね(姉)と双葉かえで(弟)です。

姉のあかねは活発な子で、サッカーや外遊びが好きで女子より男子と遊んでいます。一方、弟のかえではいつもひとりで絵を描いている子どもです。

両親は、そんなふたりのことを心配して、あかねには女の子らしく、かえでには男の子らしくいてもらいたいと思っています。

そうして迎えた誕生日、あかねにはパーティードレスを、かえでにはタキシードをプレゼント。しかし、これが大人への不信感を抱かせるきっかけになってしまい……。

転校先で、あかねは男子としてかえでは女子として通うことにする、入れ替わりチャレンジをはじめます。

本作は、自分らしくいたいと思ったふたばとかえでが、大人のルールに対抗して自分らしさを貫く過程を描いた物語です。

【作品の見どころ】

ふたりのチャレンジには、養護教諭の辻堂先生のように応援してくれる人もいます。

一方で、ふたりの両親のように「男の子らしさ」「女の子らしさ」にこだわる人もいるわけです。

チャレンジしているあかねとかえで自身も、周囲に嘘をついていることへの後ろめたさがあり、その決心が揺らぐところもあり、今後のチャレンジにさまざまな影響があるのではないでしょうか。

「性別を取り替える」という発想も、古典の教科書でもよく出てくる『とりかへばや物語』のようで興味深いですね。

【作品データ】
作画:しめ子
原作:七都にい
出版社:KADOKAWA(CandleA)
公式ページで試読できます
刊行状況:既刊1巻(以下、続刊)
※小説は既刊9巻(以下、続刊)