総務省統計局の統計によると、高齢者の占める割合は29.1%。10人に1人が80歳以上です。現在の日本では、今後も2070年頃までは高齢者率が上がると予想されています。
病気を持つ高齢者の中には在宅医療を望む人もおり、その拠り所となっているのが訪問看護ステーションです。その数は、2010年と比較すると3倍以上増加して、2024年4月1日現在で約1.7万(出典:一般社団法人全国訪問看護事業協会)。その訪問看護の日常を描いたマンガとして、広田奈都美先生の『ナースのチカラ plus』を紹介します。本作は、前回紹介した『ナースのチカラ』の続編です。
今回の「ナースのチカラplus」は
プラチナナースがテーマです!
わたしの恩師は84歳でまだ働いて本まで書いて居るので気が抜けない。 pic.twitter.com/6GqNtFBkzM— 広田奈都美🍉漫画家看護師静岡在住 (@hirota123natumi) February 9, 2025
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【作品紹介】
物語の舞台となるのは、前作の『ナースのチカラ』に引き続いて、しずまち訪問看護ステーション。前作の『ナースのチカラ』では、持田と訪問看護ステーションを立ち上げ、在宅医療を望む患者さんを支えていた師長がガンで亡くなってしまいます。
『ナースのチカラ plus』は続編となる物語で、中心人物となるのはその師長から所長を引き継いだ持田です。
人手不足で看護師を応募しているものの、誰も応募してこないことに苛立っている持田の描写からスタート。
周囲の「SNSも活用してみては?」という声に、重い腰を上げてようやくSNSで募集を始めると、問い合わせのDMがきます。
面接にやってきたのは、若くてどこかキラキラしている、元地下アイドルのイケメン男性看護師で……
高齢化社会や患者さんの希望により、必要とされる在宅医療実現のため、日々奮闘する訪問看護の現実を描く物語です。
【本作の見どころ】
作者でもある広田奈都美先生は、総合病院の看護師から訪問看護師、現在は派遣看護師として現在もご活躍中の看護師です。
取材で得られた知見も含め、彼女の目で見た看護の現実を描いている点が、本作の見どころといえるでしょう。
看護師は免許取得者(国家試験合格者)も多い一方、その激務や結婚・出産に伴う退職などの理由によって退職する人も多く、その後職場復帰していないいわゆる「潜在看護師」が多い職種です。
また、訪問看護でうかがう中には末期がん患者の他、LGBTカップルや医療不信の人、自身が最期をどう迎えるべきか決めきれない人など、さまざまな事情を抱えているもので、そうした問題が作者の目で描かれています。
しずまち訪問看護ステーションに新加入した男性看護師の千春や従来からいた花や幸代、持田とは何でも言い合える仲の小紫、一旦離職した馬渕や深原たちが、今後どのような形でストーリーに絡んでいくのか。
楽しみが尽きない作品です。
【作品データ】
・作者:広田奈都美
・出版社:フォアミセス(秋田書店)
※公式ページにて、一部の話を試読できます
・刊行状況:既刊4巻