音楽に乗せて滑走するフィギュアスケート。日本でも引退した荒川静香さんや浅田真央さん、羽生結弦さんや織田信成さん、現役では坂本花織選手や鍵山優真選手など、人気の高い選手も多く、ファンの多い競技のひとつです。
やりたい技のすべてを成功させるのは難しいのですが、それでも少しでも魅力的に技を操れるようになろうと努力しています。そんなコーチと選手の絆、努力の過程を描いたのがつるまいかだ先生の『メダリスト』です。本作は第48回「講談社漫画賞総合部門」で受賞し、2025年1月からはテレビ朝日系列の「Numanimation」枠でアニメ化されています。
【作品紹介】
本作の主人公は、フィギュアスケートクラブの「ルクス東山FSC」に所属する小学5年生・結束いのり。誰よりもフィギュアスケートが好きですが、母親からは才能がないとみなされています。
後にそんな彼女のコーチとなるのが、現役を引退したばかりの明浦路司です。彼は、アイスショーに出たいと思っているものの、なかなか面接に受からずに鬱屈した日々を過ごしていました。
そんなある日、アイスダンスの元パートナーだった高峰瞳から「ルクス東山FSC」のコーチを斡旋された司。
その際に偶然目にしたのが、母親から諦めさせる口実のために連れてこられていたいのりでした。彼女のスケーティングを見て、将来性と情熱を感じた司は、母親を説得していのりのコーチになります。
やがて、その才能を開花させたいのりは……
【作品の見どころ】
本作の見どころは、いのりと司の師弟関係です。
どんなに才能がある選手でも、指導者が肌に合わなければどこかで挫折します。
下手したら、才能では自分より下とされていた選手に追い抜かれたり、追い抜かれなくてもそのまま消えてしまうことがある厳しい世界です。
そんな中で、たまたま見学に行ったスケートクラブで、才能の原石に出会ってコーチになるのが、どれだけ低い確率でしょうか。
それはさておき、才能を見込んでくれたコーチの指導を受けて、その才能を伸ばしていくいのりの活躍は、本作を読むうえでの楽しみのひとつです。
そして、フィギュアスケート界の実情を描いている点も、本作を評価するポイントにあげられます。
日本は、今やフィギュアスケート大国のひとつ。選手層が厚い国のひとつです。
そのため、全日本選手権に出場していい成績を収める、オリンピックや世界選手権に出場するなどの活躍を、現役時代に見せられなかったら、引退後もアイスショーへのお呼びがかからないばかりか、コーチにさえなれないという厳しい現実があります。
そのあたりを描いている点は、非常に興味深く読める作品です。
【アニメ絶賛放映中】
最初にも書いたとおり『メダリスト』は、テレビ朝日系列の土曜深夜枠「NUMAnimation」枠にて深夜1時30分からアニメが放映されています。
主人公の結束いのり役には春瀬なつみさん、明浦路司役には大塚剛央さんが出演。主題歌は、米津玄師さんが歌っています。
少し遅い時間帯ですが、夜が苦手な方は録画しての視聴がおすすめです。
【作品データ】
・作者:つるまいかだ
・出版社:講談社(月刊アフタヌーン)
※公式ページで、試し読みできます
・刊行状況:既刊12巻