生きづらさを抱えたもの同士が支え合う絆の物語『羊が金の星をとぶ』

女性同士の連帯や親密な結びつきをあらわす言葉に「シスターフッド」があります。もともとは女性解放運動で使われており、生きづらさをかかえた女性の連帯・絆を示す概念ともいえるでしょう。

あらゆる場面で男女同権の概念が浸透しているものの、まだまだ生きづらさを感じている人は男女問わず多いのかもしれません。育った環境・性格とも違う者同士の結びつきを描いた物語として、今回紹介するのが有馬しのぶ先生の『羊が金の星をとぶ』です。

【作品紹介】

主人公は二人の女性。小学校の同級生だった、野川ときわと小鳥遊しえるです。

ふたりは育った環境・性格とも違います。

ときわの父は普通のサラリーマンで、母親は専業主婦。

一方、しえるの父は人気絵本作家で、母親は専業主婦です。

これだけ聞くと、しえるの家庭の方が幸せそうに見えるかもしれません。

しかし、実際は逆で父親はDVがひどく、母親はそれに怯えて過ごす日々。

対象的にときわは一般的な家庭で、すくすくと育っていきます。

そんなふたりは、中学校が別々になったことで疎遠に。

しかし、ときわが実家に送った年賀状が縁で再会。

一緒に暮らしはじめます。

もともと幼馴染だったふたりがルームシェアして、大切なものを手に入れる過程を描いた物語です。

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【作品の見どころ】

本作の見どころは、生きづらさを抱えつつも、お互いに支え合いながら生きている家庭を描いているところにあります。

ときわも、しえるも不器用です。しかし、一所懸命に生きているふたりの日々は、純粋で優しさに満ちあふれています。

コミックスの装丁は、ピンクを使ったかわいいものです。しかし、中身は骨太でどこまでも心に寄り添っています。

【作品データ】
作者:有間しのぶ
出版社:小学館(ビッグコミックオリジナル)
刊行状況:全1巻
公式ページで第1話が試読できます