「輪廻転生」という言葉を、聞いたことがある人も多いでしょう。何度も生死を繰り返して、新しい生命に生まれ変わるという意味があります。仏教に限らず世界各地にあるとされ、現在の日本でも約4割が「生まれ変わりはある」と考えているそうです。
信じるか信じないかはそれぞれとして、生まれ変わった人同士が同じ時代で出会う可能性は少なからずあります。さまざまな時代で出会ってきたふたりの人物を描いた物語が、『きのう何食べた?』でおなじみ、よしながふみ先生の『環と周』です。本作は『このマンガがすごい!2025』のオンナ編で1位を受賞しました。
🎉宝島社『このマンガがすごい!2025』オンナ編 第1位🎉
よしながふみ先生『環と周』
よしなが先生おめでとうございます✨
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【作品紹介】
主人公は、さまざまな時代に生きている環と周です。
本作では、以下の時代に生きているふたりが登場します。
- 現代(環:妻、周:夫)
- 明治時代(環と周は女学校の親友)
- 1970年代(環:死期の近い女性、周:小学生の男の子)
- 戦後(環:復員兵、周:上官)
- 江戸時代(周:)
エピローグでは、再び現代に戻ります。
それぞれの時代で起こったできごとを通して、家族・恋・友情、さまざまな関係性の「好きのかたち」を描いた物語です。
【作品の見どころ】
それぞれの環と周の関係は、下記のとおりとなります。
現代:環と周は夫婦
明治時代:女学校が舞台で、環と周は女学校時代の親友
1970年代:病気で余命わずかだった環と、アパートで出会った少年・周の物語
戦後:元上官(班長)の環と復員兵の周
江戸時代:環は周の夫を斬った武士で、周が息子と斬った相手を探し当て、環と再会した
時には家族として、また時には親友として、それぞれの時代で出会った環と周の切なさや悲しさ、儚さなど、多くの人が持ったことのあるさまざまな感情を描いている点こそ、本作の見どころです。
どの話も読み応え十分でしたが、個人的には現代編と現代に戻った描き下ろしのエピローグがもっとも印象に残りました。
まだ結婚する前の環と周が、就職活動中にたまたま出会った場面のセリフが「また会ったね」です。
「環」には循環や円環、環海などの言葉があり、一方の「周」には円周や周囲、周回などの言葉があります。
「別の時代で出会っていたふたりが、巡り巡って別の時代で出会い、お互いに好きになっていく」
それぞれのラブストーリーが描かれた本作は、何度でも読みたくなる作品になることでしょう。
【作品データ】
作者:よしながふみ
出版社:集英社(ココハナ)
刊行状況:全1巻
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