出直しアイドルの成否は?『アイドルビーバック!』

2週目の地下アイドルユニットがメジャーデビューを目指す4コマ漫画『アイドルビーバック!』(はんざわかおり)が面白いです。

浮き沈みの激しい地下アイドルの世界。気が付いたらメンバーが変わっていたり、ユニットそのものが解散していたりってなことも少なくありません。アイドルユニット「愛すビバレッジ」が2年4カ月の活動後に突然解散するところから話が始まります。原因は主力メンバーの引き抜きに始まり、7人中4人のメンバーが抜けてしまったため、残りの3人では厳しいと判断したプロデューサーが解散を決めます。

残った3人の1人が主人公の桜井あんじゅ(さくらい -)。彼女が、SNSを通じてブラックカメリアPの名前で活躍していた天才作曲家の女子中学生である黒川椿(くろかわ つばき)と出会ったことから、運命が展開していきます。「愛すビバレッジ」の残ったメンバー、すったもんだがあって大学生の紅谷朝子(くれたに ともこ)、高校生の水沢慈雨(みずさわ じう)も合流。新ユニット「アイドルビーバック」として再スタートです。はい、タイトル回収ですね。

あんじゅの人懐っこさとポジティブな性格、朝子の冷静なマネージメント能力、慈雨の天然性と歌唱力で「アイドルビーバック」は着々と実績を重ねていきます。かつて「愛すビバレッジ」の主力だった、ひよが現在所属する「らぶりーふぇにっくす」との対立軸などもちら見えするのですが、今のところはあんじゅのポジティブシンキングでスルー。逆に話題性で呼ばれた初の大規模フェス「つよつよアイドルまつり」では、人数が少ないながらも良さげな反響を得ています。

そして最新「まんがタイムきららMAX」1月号では、頑張って稼いだ20万円を元手に初のワンマンライブを計画。本来27万円の箱代(ライブハウスのレンタル料)を18万円に値切って借りるのに成功します。ただし一か月後、と。

半沢先生は、前作『こみっくがーるず』が「まんがタイムきららMAX」で2014年から2023年まで連載。単行本は全9巻が発売中です。女性漫画家のドタバタをテーマにした同作は、2018年にアニメ化されています。結構人気がありましたし、「アニメ2期もあるかなあ」と思っていましたが、残念ながら連載完結。

『アイドルビーバック!』の出だしは上々のようですし、連載のストックが溜まればアニメ化もありそうです。もっとも、今はどこもアニメスタッフの手が足りない様子。同じ「まんがタイムきららMAX」で大好評連載中の『ぼっち・ざ・ろっく!』のアニメ2期も不透明ですしね。あ、『ぼっち・ざ・ろっく!』同様に、『アイドルビーバック!』も作中で楽曲がたくさん必要になりそうです。ってことは、年単位で先かなあ。

さて、とんとん拍子に進む『アイドルビーバック!』ですが、さすがに1カ月後のワンマンライブは厳しいかな。作中でも「当日しっかり盛り上げるには3カ月前から動きたい」と朝子が言っていますしね。初の挫折になるのか。それとも壁を乗り越えて成功に至るのか。連載を楽しみにしたいと思います。

【作品データ】
作品:アイドルビーバック!
作者:はんざわかおり
連載:芳文社「まんがタイムきららMAX」連載中
刊行状況:1巻発売中、以下続刊

【作品データ】
作品:こみっくがーるず
作者:はんざわかおり
連載:芳文社「まんがタイムきららMAX」連載
刊行状況:全9巻発売中