母から娘に受け継がれる「NO」の系譜『彼女はNOの翼を持っている』

されて嫌なことの基準について、考えたことがありますか? 当然ながら、誰にもされて嫌なことがあるでしょう。また、あなた自身にされて嫌なことがあるはずです。そんな時、あなたは「NO」の意思表示をできていますか?

とは言っても「人から嫌われるのでは?」「断ったら居づらくなるかも」などの理由で、断れないことのほうが多いかもしれませんね。そんな誰もが持っているはずの「NO」を大事にする女子高生の物語が、ツルリンゴスター先生の『彼女はNOの翼を持っている』です。

【作品紹介】

本作の主人公は、佐久田つばさ・16歳の女子高生です。

つばさが幼い頃、家族で父親の実家を訪れた日の記憶(夢)から物語がスタート。母親の時江は、親戚の叔母さんにお酌をするように言われた時に「ご挨拶はお話ができたらそれぞれにするので、お酌はいたしません」と言い切り、それを聞いた叔母さんは怒ってしまいます。

しかし、父親の克己と時江は、お互いの意思を確認して尊重することを家族のルールにしており、娘のつばさも嫌なことにはハッキリと「NO」と意思表示をする性格です。

そんな「NO」を大切にするつばさの態度は、なかなかそのことを言えない人たちの想いや関係性を少しずつ変えていきます。

本当は、みんなが持っている「NO」をテーマにした物語です。

【見どころ】

『彼女はNOの翼を持っている』の見どころは、つばさと周囲にいる人たちの成長にあります。

彼女の周りには、本当は嫌だと思っていてもなかなか「NO」といえない人がいます。それは「断ったら嫌われるかも」あるいは「気まずくなるかも」などの心理が働くからです。

もちろん、学校は集団で学ぶ場所で、会社は仕事をする場所なので、ある程度は周りに合わせる必要があります。しかし、なんでもかんでも合わせればいいわけではなく、自分にあっていないと思ったらそこは断ってもいいのです。

「みんながやっているからと流されるのではなく、自分の意志で選ぶことが大切」であることを、本作は教えてくれます。

老若男女問わずおすすめします。ただ、できれば親子などで話し合いながら読んでもらいたい作品です。

【作品データ】
・作画:ツルリンゴスター
・出版社:双葉社
Webアクションにて読めます
・刊行状況:既刊1巻