ステレオタイプ的な男性像・女性像は、近年薄れつつあります。実際に女子生徒の3割がスラックスを選んでいる学校もあるほどです。しかし、「セーラー服=女子学生の制服」という固定観念が、いまだにあるのも厳然たる現実。
しかし、それらは誰かが勝手に作った虚構の中に存在するものかもしれません。そこで、ジェンダーや家族・友情について考えるきっかけとして紹介したい作品が、牧野あおい先生の『さよならミニスカート』です。本作は2018年の連載当初から大きな反響があり、2020年の「このマンガがすごい!」オンナ編で第1位に輝きました。
『 #さよならミニスカート 』
異例。
この連載は、
何があろうと、
続けていきます。あなたに届けるために。#さよミニ#牧野あおい pic.twitter.com/lAXqaP53J9
— りぼん編集部 (@ribon_comic) August 3, 2018
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【作品紹介】
『さよならミニスカート』の主人公は、高校1年生の神山仁那。
かつては、人気アイドルグループの「PURE CLUB(ピュアクラブ)」にて、不動のセンター・雨宮花恋として活躍していました。
しかし、握手会イベントで右手首を切りつけられ、心身に大きなダメージを負い、現在は芸能界を引退。実家を離れて過去を隠しながら、学内ではひとりだけスラックスを履いて高校生活を送っています。
本作は、仁那や性被害に苦しむ周囲の人たちが、光やサラをはじめとしたPURE CLUBのメンバーなど周囲の助けを借りながら、自身の本当の気持ちに気づき、本当の自分を取り戻していく物語です。
【見どころ】
『さよならミニスカート』の魅力は、次の一言につきます。
「私は私を生きていく」
主人公の仁那が、学内で唯一スラックスを履いているのには理由があるのです。
しかし、さまざまな出来事により、かつてミニスカートを履いてアイドル活動をしていたこと、そのことで引退を考えていたときに浴びせられた、周囲からの心ない言葉の数々が、消し去りたい過去を思い起こさせます。
世間に作られた価値観に沿って生きていれば、生きやすいのは確かです。しかし、本当はやりたくないのにやらされることにもつながりかねません。そうなると、どこかで歪みができてしまうでしょう。
こうした問題は、いわゆるLGBTQに代表されるセクシャルマイノリティだけの問題ではなく、現代社会に生きるすべての人たちに関わる問題です。
これから、主人公の仁那がどのような選択をしていくのか、そして性別から生まれる役割という固定観念をどう打ち破っていくのか、今後も楽しみに読み続けていきます。h
【ボイスコミックも好評】
Youtubeのりぼんチャンネルでは、本誌掲載作品のボイスコミックを公開中です。
もちろん『さよならミニスカート』のボイスコミックもあります。
主要キャストは、下記のとおりです。
- 神山仁那:勝又綾嘩
- 堀内光:松苗秀樹
- サラ:小室洋子
キャラクターボイスを聞いたあとで本作を読むと、その声が蘇ってくるようでより深く作品を読み進められます。
【作品データ】
・作者:牧野あおい
・出版社:集英社(りぼんマスコットコミックス)
※公式ページで試し読みできます
・刊行状況:既刊3巻