怖い女を描く『安野モヨコ選集 プレイボーイ団地/脂肪と言う名の服を着て』

第1弾『さくらん』のレビュー記事はこちら

「内清外濁」「人は見かけによらぬもの」など、人間の内面と外見を言い表した四字熟語・ことわざはたくさんあります。見た目だけで人を判断して、あとで大変な目にあったことのある人も多いのではないでしょうか。

自分に自信がなくなると、つい嫉妬心を抱いたり、不安・気分の落ち込みを経験することがあります。それがいきすぎることで、普段の姿からは予想もできない行動に走ることも。安野モヨコ先生の画業35周年を記念して発表された選集第二弾が、今回ご紹介する『安野モヨコ選集 プレイボーイ団地/脂肪と言う名の服を着て』です。

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【収録作品】

本作には、タイトルとなっている2作を含めて4作収録されています。

  1. 『プレイボーイ団地』(全4話)※初単行本化
  2. 『カメレオン・アーミー』
  3. 『観覧車』※初単行本化
  4. 『脂肪と言う名の服を着て』(全14話+エピローグ)

いずれも「怖い女」をテーマにした作品です。

【見どころ】

本作の見どころは、追い込まれた女性の心理がこれでもかと描かれている点にあります。

●プレイボーイ団地

・女性を馬鹿にしている男性を、幽体離脱した女性が懲らしめる物語。

●カメレオン・アーミー

・自分と同じ服、同じメイク、同じ言葉遣いというように、見下していた相手に完コピされ、その女性が自分よりキレイになってもてはやされ始めたときの虚無感を描いた物語。

●観覧車

・虚言にあふれた密室空間。あざむきの心理を描いた作品。

●脂肪と言う名の服を着て

・女性同士の妬みや他者への誹謗中傷など、陰湿な部分を描きつつ、真の美とは何かについて迫るストーリー。

醜い部分を見せつける女性、それを目の当たりにして「自分は自分のままでいよう」と悟りの境地にも似た心境になる女性など、本作にはさまざまな女性が登場します。

それぞれのキャラクターを引き立てつつ、自分らしくいることの大切さを説いている選集です。

初単行本化されている作品もあるので、男女問わずぜひ一度お読みください。

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【作品データ】
・作画:安野モヨコ
・出版社:小学館
・刊行状況:全1巻