失敗ばかりだったふたりが居酒屋を立て直す!『まめとむぎ』

どんなに完璧そうに見える人でも、大きいか小さいかの違いはあっても、失敗した経験のない人はいません。また、どんなにポジティブそうに見える人でも、何かとうまく行かなかったとき、嫌になって腐ってしまったことのある人も多いでしょう。

しかし、さまざまな人や出来事に出会うことで、どんなに腐りかけていても本来持っていた輝きを取り戻すことがあります。何をやっても失敗ばかりだったふたりが出会い、お客ゼロだった居酒屋を立て直す物語が、谷口菜津子先生の『まめとむぎ』です。

【あらすじ】

「発酵食品」をキーワードに美味しそうな料理が多数登場する、本作の主人公はふたり。無職の麦(30歳)とあざとかわいい系の居酒屋店主・マメ(23歳)です。

無職になってひとり落ち込む、麦の描写から物語がはじまります。

さかのぼること3ヶ月前、ファッション雑誌の編集部で働いていた麦。夢は、勤務していたファッション雑誌で編集長になることでした。そのために、巻頭特集の案出しも積極的に行い、誰よりも企画を通していました。

ファッション雑誌への情熱も人一倍あり、華やかな特集を作れる麦。そんな彼女の短所は、個人プレイが多いこと。誰かと比較して自分を評価してしまうところです。

そこを見ていた上司は、新編集長に同僚を指名します。それで落ち込んでいたところに、元編集長との不倫が発覚。立ち直れないほどのダメージを負ったことで会社を退職します。

そんな時に思い出したのが、初給料を持って立ち寄った居酒屋・大豆堂。老夫婦ふたりで経営していたお店でした。しかし、ふたりはすでに引退。あざとかわいい系の孫・マメに代替わりしていました。

店構えがガラリと変わった上、発酵食品の魅力を「これでもか」と言わんばかりに熱く語るマメに困惑しながら、その美味しさに魅了されていく麦。

1週間ぶりにお店を尋ねると、お店が様変わり。多くのお客さんが入り、大繁盛していました。それもそのはず、酔った勢いで麦が話したアドバイスを、マメが実践していたからでした。

そんなこんなで居酒屋を切り盛りすることになった、マメと麦が居酒屋を立て直していく物語です。

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【見どころ】

本作には、美味しそうな料理が多数登場。もともと作者の谷口菜津子先生は、料理の描写に定評があり、美味しそうに描かれているので、見ているだけで食欲をそそります。

そして、何より面白いのが、マメのキャラクターです。

あざとかわいい系で、あまりやる気もなさそうに見えます。しかし、塩麹をはじめとした発酵食品には誰にも負けない情熱を持っており、麦とは初対面でありながら思わず熱く語ってしまうのです。

かつての不倫相手に会うために家を出たはいいものの、鏡に映った腐った自分を見て、陰うつな状態に陥っていた麦でしたが、その底抜けに明るいキャラクターで心を照らします。

「何度失敗しても、根っこさえ腐っていなければ必ず立ち直れる」ことを示してくれるはず。

嫌なことがあったとき、本作を開くと明るく楽しく生きるコツが見えてくるでしょう。

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【作品データ】
・作者:谷口菜津子
・出版社:双葉社(ジュールコミックス)
Webアクションで読めます
・刊行状況:既刊1巻