江戸・吉原の花魁が現代に甦る!『安野モヨコ選集 さくらん』

東京・吉原といえば、江戸時代に栄えた遊郭の街です。もともとは江戸幕府が開設された直後、現在の日本橋人形町に作られ(本吉原)、後に台東区千束3・4丁目(浅草寺裏)に移転(新吉原)。現在は、日本最大の風俗街がある街として知られています。

古典落語や浪曲、歌舞伎でも舞台とする演目がある他、樋口一葉や森鴎外の小説や映画・ドラマでもよく取り上げられる吉原。今回紹介するのは、安野モヨコ先生のデビュー35周年を記念して復刻された『安野モヨコ選集 さくらん』です。2001年~2003年にかけて講談社の「イブニング」で第一章、2005年には第二章が連載されました。

【あらすじ】

舞台は、江戸・吉原にある遊女屋の玉菊屋。玉菊屋に連れてこられた8歳の少女・きよ葉が主人公です。

何度も脱走を試みたものの、器量はよくお客さんにはかわいがられ、高級花魁で面倒を見てもらっていた粧ひ、玉菊屋の清次らに導かれるままに花魁になる決意をします。

やがて17歳になったきよ葉は、口は悪く気も強いものの、持ち前の器量と美貌、気の強さで一躍売れっ子となり、お客としてきた青年・惣次郎と恋に落ちるが……

嫉妬がうずまく吉原の遊郭と、そこで働く女性と働く男性、お客として来る男性の人間関係に焦点を当てたマンガです。

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【見どころ】

最初にも書いたように、もともとは講談社の「イブニング」にて連載されていた作品です。
コミックスも刊行されたものの、2001~2003年にかけて不定期連載された第一章のみが収録されました。

第二章(全3話)は2005年に連載されたものの、すぐ休載となったためコミックスに収録されることなく、長らく絶版のままでした。

幻の第二章も収録されており、戻ってきたきよ葉の続きを読めます。

安野モヨコ先生は、女性の表情を描写するのが上手で、本作でも喜怒哀楽を見事に表現。連載当時のカラーページが完全再現されているので、当時を知っている人はもちろん、知らない人も楽しめるでしょう。

キャッチコピーでもある「てめぇの人生、てめぇで咲かす」のとおり、花魁として花を咲かそうとする女性がいきいきと描かれています。

その他、巻末には著者本人がセレクトした江戸の美人画が収録されているので、こちらも楽しみです。

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【作品データ】
・作画:安野モヨコ
・出版社:小学館
・刊行状況:全1巻