近年、著名人でも公表する人が多い発達障害。その中にアスペルガー症候群(自閉スペクトラム症、ASD)があります。具体的な特徴は、こだわりの強さ・感覚過敏・コミュニケーションが苦手などの症状です。
他の人と異なる特徴を示しやすいことからいじめにつながりやすく、当事者は非常に生きづらさを抱えています。そんな生きづらさを抱えるふたりが出会い、ともに居場所を探していくふたり暮らしの物語が、今回紹介する『アスペル・カノジョ』です。
ここ数日『アスペル・カノジョ』の感想がポツポツ増えてたので久々に読み返してみたんだけどここの描写(コマ外蹴り出し演出)自分でやっといて笑ってしまった🤣 pic.twitter.com/XraMOHCMVQ
— 森田蓮次(告知用) (@renjimo_inform) September 5, 2023
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【『アスペル・カノジョ』とは?】
本作の舞台はアパートの一室。そこに住む横井拓(ペンネーム:下水星人)が主人公です。いじめられてこそいないものの人付き合いが苦手で、親との交流にも苦痛を感じ、高校を卒業すると家を出て、ひとり暮らしをスタート。
その後は、新聞配達や二次創作のエロ同人誌を描いて生計を立てつつ、オリジナル同人誌を描いています。オリジナルの方はお世辞にも売れているとはいえません。しかし、自分の存在価値をそちらに見出していることもあり、オリジナルの作成に時間を費やす毎日。
そんな中、ある女性が突然横井の家へやってきます。オリジナル同人誌・内外開拓のファンを名乗る女性の名前は、本作のヒロイン・斉藤恵。鳥取県から来た18歳の少女です。彼女は学校で同級生からいじめられ、さらには先生にも無視されたことで高校を中退。夜行バスに乗って、東京へとやって来ました。
そんな生きづらさを抱えるふたりが、狭いアパートの一室でふたり暮らしをはじめ、居場所を見つけていく物語です。
「アスペル・カノジョ」
内向的で対人関係が苦手な売れない同人作家の自宅へ、ファンを公言する発達障害の女性が突如押し掛け、成り行きから奇妙で不器用な共同生活が始まるー。過去のトラウマに囚われていたり、コミュニケーション不全に葛藤している社会不適合者の二人が紡ぐ繊細な愛情の記録。 pic.twitter.com/gWsg1ZinG0
— OSAMU (@osum41_arise) May 29, 2023
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【見どころ】
本作の見どころは、主人公の横井が斉藤さんの行動に戸惑いながらも、それを受け入れてお互いの居場所を見つけようとするさまが描かれている点です。
第1話での斉藤さんは、初対面にもかかわらず横井の顔をじーっと凝視し続けます。斉藤さんが鳥取から夜行バスに乗って約12時間かけて東京にやってきたことを知り、横井は「良かったら上がっていきますか?」と声をかけます。
それに対して、「いいんですか?」という言葉もなく部屋へと入っていき、その部屋で突然リストカットをはじめる斉藤さん。
おそらく多くの人は、ここで面食らうのではないでしょうか。しかし、彼女は自閉スペクトラム症の他、強迫性障害・パニック障害・うつ病を患っています。こうしたコミュニケーションを苦手とするのは、スペクトラム症の特徴です。
また、ちょっとした言葉の行き違いでパニックになったり、虫を見ると足で踏んづけたり、犬を蹴ったりと、常識では考えられないような行動を取ります。
このように、社会で「常識」とされることがほとんど通じない斉藤さんです。
しかし、横井はしっかりと言い分を傾聴し、その突飛な行動に動じず、必要以上に大騒ぎしたり叱責したりもなく的確に分析しながら行動していきます。
そんな横井と斉藤さんの関係性の変化が、本作の見どころです。
アスペル・カノジョを1巻から読み直してるけど、整理してみたら1巻の時点でこんだけ問題が描かれた。
情報量多すぎて、発達障害のことをよく知らない人は間違いなく受け止めきれなくて挫折するやつ。
カノジョと一緒に住んで12巻まで持たせられる主人公優秀すぎるでしょhttps://t.co/7OXomgLY0k pic.twitter.com/lk3VkFlhqr
— よしき (@yoshiki_anime) September 5, 2023
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【作品データ】
作画:萩本創八
原作:森田連次
出版社:講談社
※コミックDAYSにて試し読みできます
刊行状況:全12巻