近年ではXジェンダーやノンバイナリーのように、男女どちらでもないことをカミングアウトする人も増えてきました。しかし、今でも多数派は男性か女性です。実際、医学的な性別に違和感があっても、そのことを隠さなければなりませんでした。
さて、もしも性別を自在に転換できるとしたらどう思いますか。最終的には嬉しいと思っても、いざその立場になってみると最初のうちはなにかと戸惑ってしまうでしょう。そこで今回は、西野きいな先生の性転換ラブコメディー『三日月まおは♂️♀️(性別)をえらべない』を紹介します。
【作品のあらすじ】
主人公は、高校1年生の三日月まお。人よりも少し胸が大きく、男運のない女子高生です。高校ではじめてのカレができたものの、そのカレはヤリモク嘘つきクズ野郎。付き合いはじめてから2週間でフラレてしまいます。
「男が全員クズなわけじゃない」と思いつつも、まおはフラレたことにショックが隠せません。その日は「なんで、もうやだ。嫌い、きらい、キライ」と思いながら、眠りにつきました。
その翌日、自分の体を見てビックリ。男性に変わっていたのです。
「恋愛に振り回されるのは、もうたくさん」と思ったまおは、夏休みの間に男性として生きていくことを決意。パパの転勤に伴って、男子寮のある共学校へ転校することに。
そこで出会ったのが真中流星。最初は、そのぶっきらぼうな態度を見て、反感を持っていたまおでした。しかし、寮でルームメイトとして接していくうちに、流星の本心に気づいて考えを改めます。
入寮後、寝ぼけた流星から偶然キスされた際、キスされたら性別がスイッチするとわかります。その後は性転換の秘密がバレないかヒヤヒヤしながら、学園生活を送る毎日。
そんなまおが、男女の間を行ったり来たりしながら、本当の恋を見つけていく物語です。
【見どころ】
同じく女から男に変わったまおのパパいわく、三日月家には魔女の血が流れており、性転換のような現象が起こるのだとか。はじめて聞いたときは、誰だってビックリしてしまうでしょう。
失恋の痛手があったからとはいえ、突然女性から男性になってしまったまおの混乱と、それを支えるパパの優しさ。そして、性別に関係なくキスされると性別がスイッチするとわかり、その秘密をいえないことでドギマギするまおの表情がなんともかわいいですね。
もともと女性だったこともあり、女性視点から見た理想の男性を演じられる反面、その心は女性のままなので、男として生きるのか、女として生きるのか決めきれないまま時を過ごします。
男として男を愛するのか、女として男を愛するのか、はたまたその垣根を超えていくのか……
そのあたりは、コミックスでお楽しみください。
【ボイスコミックも好評】
小学館のYouTube・少女マンガの公式チャンネルでもあるフラコミチャンネルでは、『三日月まおは♂️♀️(性別)をえらべない』のボイスコミックが公開されています。
主人公・三日月まおの声を小松未可子さん、真中流星の声を石川界人さんが担当。筆者は女子高生の時の声と、男になってからの声の演技を聞いていて、思わず主人公のまおに惚れてしまいました。
また、作内ではクールに描かれている流星も、その雰囲気が存分に表れています。
これを聞いてからコミックスを読むと、ボイスコミックの声が脳内再生されるので、より楽しみが増すのではないでしょうか。
【作品データ】
・作者:西野きいな
・出版社:小学館(フラワーコミックス)
※小学館コミックス紹介ページで試し読みできます
・刊行状況:全5巻