ついに日米開戦!東條英機は?山本五十六は?『昭和天皇物語』

小学館「ビッグコミックオリジナル」にて好評連載中の『昭和天皇物語』(能條純一)が大きな山場に突入しました。

本作はタイトル通りに第124代天皇である昭和天皇陛下の生涯を漫画家したものです。作画は『哭きの竜』『月下の棋士』などの代表作がある能條純一先生。

そして、原作として作家やジャーナリストとして活躍した半藤一利さんの『昭和史』を元に、『チャイルド★プラネット』(原案:竹熊健太郎)、『竹光侍』(作画:松本大洋)など代表作がある永福一成さんが脚本(9巻まで)を、『まんが☆漫画☆MANGA 日本の漫画はなぜ世界一なのか』などの著書がある志波秀宇さんが監修を務めています。

冒頭は太平洋戦争の敗戦後、進駐軍のマッカーサー元帥との会見から始まります。陛下が正装、マッカーサー元帥が軽装のシャツ姿で撮られた写真が有名でしょう。その折に陛下は「(戦争について)全責任を負う」と発言されたそうです。

その後、マッカーサーが「天皇裕仁はどのような人生を-どのような数奇な運命を辿ってきたのか。私は知りたいと…思った。」と感じたとしています。もちろん、これは本作なりの演出なのでしょうけれども、そこから昭和天皇陛下の幼少期、青年期と話がつながっていきます。

さて本作と共に紹介したいのは『明仁天皇物語』です。こちらも小学館から発売された漫画作品で、作画は『彼女を守る51の方法』『帝一の國』などの代表作がある古屋兎丸さんながら、原作が永福一成さん、監修が志波秀宇さんと『昭和天皇物語』と重なる部分が多々あります。

制作にあたってはNEWSポストセブンの「原作・永福一成氏が明かす『明仁天皇物語』を漫画化した理由 」にあるように、『昭和天皇物語』もきっかけのひとつとなったそうです。『明仁天皇物語』は2016年(平成28年)のお気持ち表明の後、1945年の玉音放送を継宮殿下(後の平成天皇陛下)が聞かれる場面から始まっています。

さて『昭和天皇物語』に戻りましょう。連載が進むにつれて、イギリスへの外遊、結婚、二・二六事件など悲喜こもごもの事柄が描かれていくのですが、100話を超えた辺りから徐々にきな臭さが強くなってきます。総理大臣となった東條英機が泣きながら「開戦を決意する」と御前で発するものの、昭和天皇陛下が「東條…おまえは倖せ者だ。人前で、堂々と泣けて…」と述べるところは陛下の心境が慮られるようです。

直近の連載では満を持しての真珠湾攻撃、そして大使館員らの不手際により遅れた宣戦布告など、「そうなって欲しくない」と思える展開が、これでもかこれでもかと続きます。後から考えれば避けられる手段はいくらでもあったと思うのですが、坂道を転がり落ちるときはこんなものかもしれませんね。ここから敗戦、戦後の日本の下で昭和天皇陛下がどこまで、どう描かれるのか楽しみに待ちたいと思います。ただ、能條純一先生は1951年生まれの73歳なのですよね。決してご無理の無いよう願います。

【作品データ】
作品:昭和天皇物語
作画:能條純一
原作:半藤一利
脚本:永福一成(9巻まで)
監修:志波秀宇
連載:小学館「ビッグコミックオリジナル」連載中
刊行状況:1~14巻発売中、15巻7月30日発売予定

【作品データ】
作品:明仁天皇物語
作画:古屋兎丸
原作:永福一成
監修:志波秀宇
刊行状況:全1巻