クトゥルフ神話+きらら系『SAN値直葬!闇バイト』単行本2巻発売!

暗黒ぬい(ぐるみ)をめぐってドタバタする4コマ漫画『SAN値直葬!闇バイト』の単行本2巻が発売されます。

可愛い女の子達がキャッキャウフフする漫画“きらら系”ですが、常にちょっと変わった雰囲気の漫画が混じっています。有名どころでは『キルミーベイベー』(かづほ)や『ぼっち・ざ・ろっく』(はまじあき)でしょうか。こうした名作に割って入る……かもしれないのが『SAN値直葬!闇バイト』(ムクロメ)です。

主人公は父親の会社が倒産して一家離散の憂き目にあった女子高生の黒乃あかり(くろの-)。この辺りの設定から“きらら系”と外れつつあるのですが、極貧に耐えかねて時給5000円のアルバイトを始めます。

ちょっと横にそれますが、タイトルにある「SAN値」とは、「正気」の意味を持つ単語「sanity」からできた言葉で、「SAN値」イコール「正気度」くらいに考えてください。オカルト系の名著「クトゥルフ神話」シリーズを元にしたゲームで生まれた言葉です。その「SAN値(正気度)」が「直葬」で「闇バイト」と流れるタイトルでも、普通のきらら系とは一線を画することが想像できると思います。

あかりがアルバイトを始めるのは、オカルトショップ「輝くトラペゾヘドロン」。この「輝くトラペゾヘドロン」も「クトゥルフ神話」シリーズに登場するアイテム名です。その店長アメンパインの元で、死んだり生き返ったり狂ったり正気に戻ったりしながら、あかりはアルバイトを続けていきます。人間離れした店長と違って普通の女子高生(のはず)あかりのですが、店長の魔術を見た直後に「これで一稼ぎできますよ」と言うくらい精神的にも肉体的にもタフさが図抜けています。

アホ毛が目立つ同僚で魔術の才能がある明治こよ(めいじ-)、黒髪ロングヘアで後輩バイトの蟲野なごみ(むしの-)、そしてなぜかあかりと気が合うショゴスとともに暗黒ぬい(ぐるみ)を捕まえていくのですが、話が進むにつれてあかりが人間離れしていきます。「輝くトラペゾヘドロン」を乗っ取るようなセリフも口にしており、ゆくゆくは店長との対決があるのでしょうか。なお「ショゴス」も「クトゥルフ神話」シリーズに登場する妖怪のようなキャラクターです。

5月27日に単行本2巻が発売。そして「まんがタイムきららMAX」連載も継続中。つまり、きらら系漫画の大きなハードルである単行本2巻の壁を超えたことになります。このままアニメ化などに突き進めるかが見ものです。もっとも3巻や4巻で終わってしまった作品も少なくないんですけどね。

直近7月号の連載では、暗黒ぬいの捕獲に失敗した穴埋めとしてショゴスでごまかそうとします。それが店長の逆鱗に触れたらしく、あかりは店を出入り禁止となった模様。アルバイトをしないと日々の生計が立たないあかりが、この危機をどう乗り越えるのかが楽しみです。

【作品データ】
作者:ムクロメ
連載:芳文社「まんがタイムきららMAX」連載中
刊行状況:1巻発売中、2巻5月27日発売予定