ギャルになりたかった私に贈りたい『30歳喪女、平成ギャルになる。』

「高校生の時に〇〇したかった」もしくは「勇気を出して〇〇しておけばよかった」など、考えたことのある30代以上の人は、男女問わず多いのではないでしょうか。後悔してもその時が戻ってこないとわかっていても、ついつい羨んでしまいます。

さて、もし若い時にできなかったことを、その時にタイムスリップしてやり直せるとしたら、やってみたいと思いますか? 「Yes」と答えた人「No」と答えた人問わず、全員に読んでもらいたい作品が、山口しずか先生の『30歳喪女、平成ギャルになる。』です。「喪女」とは、ネットスラングで「もてない女性」という意味があります。

主人公は、30歳目前のOL・鶴中彩。実家で親と同居、親友と呼べる人もおらず、自分を持たず周囲に流されながら生きてきたため、なかなか自分に自信を持てないままここまで来てしまいました。

そんな彼女は、高校時代に「ギャルになりたい」という思いを持っていました。その証拠に、今でもギャルファッションをしている女性がテレビに出ていると、口では「苦手」と言いながらも思わず目が釘付けになるほど。

しかし、なかなか勇気を出せず、ギャルデビューできなかったことに後悔する日々でした。

そんな気持ちを見抜いてか、母から「もう30よ?節目の年だし」という言葉をかけられます。

「自分のしたかったことってなんだろう?」と思っていた彼女が向かったのは、推しているYouTuberのイベント。

そこで出会ったギャルたちとイベントを楽しんでいると、貧血で倒れてしまいます。その後に目が覚めると、高校時代にタイムリープ。

戸惑いながらも、高校時代にできなかったギャルデビューするために、高校時代を追体験する物語です。

本作では、試行錯誤しながらも自分自身や人生を見つめ直す姿が描かれています。自分自身を変えたいと思ったら、多大なエネルギーがかかるため、その大変さに音を上げて途中で諦める人もいるのです。

しかし、彩は周囲の目を気にするあまり、殻を破れなかった自分を変えようと自分のペースで行動。ギャルを楽しんでいます。

作者の山口しずか先生もインタビューで語っているとおり、高校時代はギャルだったこともあり、2000年代の流行やトレンドアイテムなどがふんだんに盛り込まれている作風が話題になっています。

世代・性別を問わず、自分を変えたいと思っているすべての人におすすめしたい作品です。

【作品データ】
作画:山口しずか
出版社:KADOKAWA(あすかコミックスDX)
カドコミにて閲覧可能
刊行状況:既刊1巻