現在の島耕作はこうなっています『社外取締役 島耕作』『逢いたくて、島耕作』

1983年から始まった島耕作シリーズ。現在はどうなっているのか紹介しましょう。まず2022年から連載されているのが『社外取締役 島耕作』です。

大学を卒業して初芝電器産業に入社した島耕作(しま こうさく)は課長、部長、そして取締役になり、社長、会長へと出世を重ねます。その後、相談役になった後、社外へと席を移すことになりUEMATSU塗装工業からの依頼を受けて社外取締役に就任するのが、本作への流れです。

UEMATSUで淡々と社外取締役として業務をこなすわけもなく、ワンマン社長が病気に倒れ、周囲にそうと知らされないまま愛人の息子が社長に就任したことで、ストーリーが大きく動いてきました。実は本妻の息子も既に取締役としてUEMATSUにいたのですが、いまひとつ人望や経営能力に欠けるとみなされてしまったことで新社長にはなれませんでした。

こうした流れの中で、島社外取締役は新社長が愛人の息子であることを知っていて傍観者に留まっていました。しかし本妻の息子が心を入れ替え、新社長が辣腕を振るったため自殺者が出てしまったことで、「また何か起きそうだな」と思わせる展開になっています。現実にはお飾りに留まることが多い社外取締役ですが、島社外取締役はどんな活躍を見せてくれるのか楽しみです。

冒頭で紹介したように1983年に開始した本シリーズ。40周年を記念して2023年に始まった連載が『逢いたくて、島耕作』です。

スピンオフ作品には弘兼先生が作画を担当した『島耕作の事件簿』などがある一方、『騎士団長 島耕作』(原案:弘兼憲史、作画:宮本福助)のように別な漫画家が手掛けた作品もあります。本作は後者で、『魔王様は結婚したい』『魔法少女全員おじさん』の代表作がある諏訪先生が作画を担当しています。

主人公は就職活動に励む大学4年生の谷耕太郎(たに こうたろう)。ただし面接で島耕作愛を力説するほどに空回りして「お祈りメール」(採用不合格の返事)に至っています。島耕作シリーズを“聖典”、原作者の弘兼先生を“創造主”と呼ぶ谷は、何者かに「島耕作愛は本物か」と尋ねられ、「本物に決まってるだろ」と答えたことで、「ならば見せてもらおう」と1980年の世界に飛ばされます。

「ああ、異世界転生もののアレンジか」と言われれば、その通り。ただし飛ばされた先は初芝電産の大阪営業所、しかも今野輝常主任の部下でした。シリーズ愛読者であれば今野が嫌なキャラであるのは周知のこと。けれども今野からフォローを受けた谷は、今野の先行きを何とかしようと決意。と、同時に過去に飛ばされた原因として島耕作を原作通りに出世させる目的があることを知ります。

つまり今野の人生を原作よりマシなものにしつつ、島耕作を原作のように出世させる、ある意味で相反する未来を実現させなくちゃダメなんですね。直近の連載では、今野にそうした秘密を明かしたことで鶏になってしまう、つまりゲームオーバーとなるペナルティがあると分かりました。鶏になっては島耕作と仕事はできませんよね、たぶん。

しかしここでくじけないのが漫画の主人公。谷は「これは島耕作を誰よりも愛する僕にしかできないことなんだ」と言い切っています。あ、念のため言っておきますが、恋愛的な意味ではありませんよ。今野の他にも、福田敬三、中沢喜一、田代友紀ら懐かしい面々が登場する本作。島耕作の登場が楽しみな作品です。

【作品データ】
作品:社外取締役 島耕作
作者:弘兼 憲史
連載:講談社「モーニング」連載中
刊行状況:1~2巻発売中、以下続刊

【作品データ】
作品:『逢いたくて、島耕作』
作者:諏訪 符馬
協力:弘兼 憲史
連載:講談社「モーニング」連載中
刊行状況:1巻発売中、以下続刊