織田信長から雑兵、そして石田光成へ『雑兵めし物語』『石田三成の妻は大変』

重野なおき先生が4コマ漫画雑誌に戻りつつあります。

重野先生の代表作と言えば、白泉社の「ヤングアニマル」にて好評連載中の『信長の忍び』でしょう。子供の頃に危機を救われた信長に使えるくノ一である千鳥(ちどり)を主人公にした作品。2016年からアニメになっただけでなく、重野先生の『軍師 黒田官兵衛伝』(白泉社、既刊6巻)、『政宗さまと景綱くん』(リイド社、全4巻)など、戦国4コマ漫画の起点ともなった作品です。

ただし、デビューからしばらくの間は4コマ漫画誌での活躍がメインでした。当時の代表作は『Good Morning ティーチャー』『うちの大家族』でしょうか。ちなみに私、「まんがライフ」の抽選プレセントで重野先生のサイン色紙を頂きました。その節は本当にありがとうございます。

それでも『信長の忍び』が人気になったこともあってか、4コマ漫画誌の連載が次第に減少、2018年に『うちの大家族』が最終回を迎えたことで、芳文社、竹書房、双葉社の三大4コマ漫画雑誌出版社から離れてしまいました。当時4コマ漫画雑誌が退潮傾向にあったのは間違いないのですが、重野先生が“切られた”とは思いづらいんですよね。

その証拠に2020年から竹書房「まんがライフオリジナル」にて『雑兵めし物語』の連載が始まりました。こちらも戦国時代を描いた4コマ漫画ながら、作兵衛と言う名も無き(矛盾かも?)雑兵が主人公です。編集さんか重野先生がそれだけでは弱いと見たのか、プラスめし、つまり庶民の食べ物を絡めてコミカルな4コマ漫画に仕立てています。

信濃(今の長野県)辺りを舞台としているため、立て続けに武田信玄に攻められる苦しい戦が続いている中で、雑兵の作兵衛がしぶとく生きる様を描いています。このまま雑兵として生き続けるのか、かくまっているお姫様のつるさんを手がかりとして、のし上がっていくのか。作兵衛の先行きが楽しみです。

さらに2022年、双葉社「まんがタウン」にて『石田三成の妻は大変』が始まりました。タイトル通り、石田三成の妻である、うたを主人公としています。

本誌の人物紹介に「史実の記録があまり残っていない」とあるように、漫画家や小説家にとっては何とでも描け(書け)そうな人物、と重野先生が思ったかは不明ですが、本作のうたは可愛くコミカルに描かれています。夫である石田三成をかなりの堅物に描いているため、ちょうど良いデコボココンビ(夫婦)と言えそうです。ストーリーが進み大谷吉継夫妻も登場、石田夫妻に程よい刺激を与えています。

こうなると芳文社にも戻って欲しいものですが、『信長の忍び』もまだまだ続きそうですし、これ以上は難しいかもしれません。まあ、のんびり気長に待つことにしましょう。

【作品データ】
作品:信長の忍び
作者:重野なおき
連載:白泉社「ヤングアニマル」連載中
刊行状況:1~20巻発売中、以下続刊

【作品データ】
作品:Good Morning ティーチャー
作者:重野なおき
連載:竹書房「まんがライフ」など連載
刊行状況:全14巻発売中

【作品データ】
作品:うちの大家族
作者:重野なおき
連載:双葉社「まんがタウン」など連載
刊行状況:全15巻発売中

【作品データ】
作品:雑兵めし物語
作者:重野なおき
連載:竹書房「まんがライフオリジナル」連載中
刊行状況:1~2巻発売中、以下続刊

【作品データ】
作品:石田三成の妻は大変
作者:重野なおき
連載:双葉社「まんがタウン」連載中
刊行状況:単行本発売未定