マンガ大賞2023受賞『これ描いて死ね』を読んで死…んじゃだめ

小学館「ゲッサン」で好評連載中の『これ描いて死ね』(とよ田みのる)が、マンガ大賞2023にて大賞を受賞しました。

『これ描いて死ね』は「ゲッサン」2021年12月号から連載開始で、単行本は3巻まで発売中です。

主人公の安海相(やすみ あい)は伊豆大島ならぬ伊豆王島の高校に通う1年生。子供の頃に読んだ漫画のキャラをイマジナリーフレンドに持つ、ちょっと……な女子高生なのですが、ひと一倍漫画が大好きでした。「でした」とするのは、どちらかと言えば漫画好きなのを隠していたため。しかし、担任教師が元漫画家、それも自分が大好きな漫画家だったと知ったことや、漫画に興味のある友達との出会いをきっかけに、高校で漫画研究会を作り、漫画の創作へと突き進んでいきます。

もちろん、その途中で山あり谷ありとなるのは、漫画のお約束。漫画家だった先生の過去が徐々に明かされてくるのも、漫画の定番でしょうね。

作者のとよ田みのる先生は、デビュー作の『ラブロマ』『友達100人できるかな』など、以前は講談社で活躍されていました。『タケヲちゃん物怪録』から小学館での掲載がメインとなり、本作と同じ「ゲッサン」掲載の『金剛寺さんは面倒臭い』では、2019年の第12回漫画大賞ではノミネート作品となっています。

その年は『彼方のアストラ』(篠原健太)が大賞を受賞しましたが、4年後の2023年に本作が漫画大賞となりました。講談社の関係者は「大魚を逃した!」と思っているのでしょうか。

「ゲッサン」5月号掲載の最新話では、2回目のコミティア参加のため、主人公が漫研部員らとともに上京。神保町界隈で大騒ぎした後、コミティアで自作の同人誌が完売、そして編集者に原稿を見てもらおうとするところまでが描かれています。

面白いのは主人公が夢の中で20XXの漫画大賞を受賞していること。まさに現実とのネタ被りですが、ネタやネーム段階では本作の受賞が決まっていたとは思いづらいですし、とよ田先生はどこまで予想していたのでしょうか。

ただし、5月号掲載の「まんが大賞2023大賞受賞ありがとうマンガ」によると、2月某日に担当編集さんから受賞の連絡があったとのこと。連絡を受けて急遽内容を変更したのかもしれませんね。令和の女子高生版『まんが道』と言えそうな本作。今後も主人公達のまんが道を楽しみにしましょう。

【作品データ】
作者:とよ田みのる
連載:小学館「ゲッサン」連載中
刊行状況:1~3巻発売中、以下続刊