お隣さんが気になる2作『今日もベランダで』『テレワァク与太話』

偶然、隣に住んでいる人と男女の関係に……ってな展開は、誰しも一度や二度は想像したことがあるのではないでしょうか。そんなシチュエーションの漫画が、講談社「モーモング」にて2作も始まっています。「モーニング」2022年42号から連載を開始したのが『今日もベランダで』(糸川一成)です。

主人公はフリーランスでエディトリアルデザイナーを務める土岐田旬(ときた しゅん)。「エディトリアルデザイナーって、何?」と思うかもしれませんが、雑誌や広告などのデザインを手掛ける人のようです。その隣に引っ越してきたのがヒロインとなる女優の成海游(なるみ ゆう)でした。旬の趣味がベランダガーデニングだったことで、2人の関係が近づきます。

ただし游の職業が女優のため、当初は直接会うことを避けていた游でしたが、旬に女優であることを気づかれただけでなく、旬の人柄を気に入ったことで「お隣さんのお隣さんでいたいです」なんて言っちゃうんですよね。これで気が向かない男がいるでしょうか。いや、いない、と。

その後も付かず離れず、やや離れずくらいの関係が続くのですけれども、最新話でマネージャーから気になるメッセージが届きます。なんと、游が前に住んでいたマンションの漏水工事が終わったとのこと。ってことは、游は元住んでいたマンションに戻るんでしょうか。それとも、ここに居続けるんでしょうか。そうなるとマネージャーにも言い訳しなくちゃいけないですよね。ただでさえ2人の仲を疑っているマネージャーが、そんなことを許すとは思えません。さて、どうなるんでしょうね。

あ、それから展開に合わせていろんな園芸情報がついてくるんですが、まあオマケみたいなものと思っても良いでしょう。『やいてるふたり』(ハナツカシオリ)の料理レシピや、『踊れ獅子堂賢』(常喜寝太郎)のダンス情報くらいな感じです。

そしてもう1作。「モーニング」2022年49号から連載を開始したのが『テレワァク与太話』(山田金鉄)です。

こちらの主人公は、やや社畜気味のシステムエンジニアの三橋残(みつはし のこる)。テレワークをきっかけとして約1カ月かけて自宅環境を整えたことで、ベランダからお隣さんに声をかけられます。そのヒロインとなるお隣さんは、大学院生の泉奈津(いずみ なつ)。で、おそらく最終回であろうネタバレをしてしまうと、この2人は結婚します。ネタバレって言うよりも、第1話のモノローグで「これが妻との出会いでございました」とあるんですよね。要するに、何年後かは不明ですが、結婚するまでの山あり谷ありが描かれるのでしょう。

山田先生は前作『あせとせっけん』で受け身のヒロインに積極的なアプローチを重ねる男を描きました。しかし本作では受け身の男(残)に積極的なアプロ-チを仕掛けてくるヒロイン(奈津)を描いています。京都弁(おそらく)を駆使し、お土産を持って残の部屋に押しかけ、奈津の部屋に誘い、キスをして、最新話では「襲っちゃおうか 迷っとる」なんてセリフを口にしています。その後、コンビニまで奈津がコンドームを買いに行き、ナニしちゃうんですからね。『あせとせっけん』並みに展開が早いなと。

ところがまさに「禍福は縄のごとし」となります。何と、発掘調査プロジェクトで一カ月も奈津が海外に行っちゃうんですよ。合体したのがクリスマス。で、正月になり、節分を迎えます。つまり、一カ月たっても音信普通と、まさに“谷”へと突入しました。『コロナが原因なのかなあ』とは思うんですが、どうなったのか残と同様に気になります。結局、結婚に至るのですから無事とは思うんですけどね。ここはモーニングの連載を待ちましょう。

【作品データ】
作品:今日もベランダで
作者:糸川一成
連載:講談社「モーニング」連載中
刊行状況:1巻発売中、以下続刊

【作品データ】
作品:テレワァク与太話
作者:山田金鉄
連載:講談社「モーニング」連載中
刊行状況:5月23日(火)第1巻発売予定