日本の伝統芸能の中で、もっとも手軽に楽しむことのできるものが、落語・講談などの寄席です。コロナ禍の中で落語会の数が激減した時期もありましたが、都内であれば毎日数百~1,000件近くの落語会が行われています。
落語・講談の場合、「天狗連」と呼ばれるアマチュアの落語家・講談師、もしくは落語研究会(いわゆる落研)も活発に活動しており、演じる・観賞する両方の面で敷居が低いといえるでしょう。そこで、今回は高校の落語研究会を舞台にした青春ストーリー、秋山はる先生の『こたつやみかん』を紹介します。
無口で内気な性格の酒井日菜子と、優等生で美人な転校生の有川真帆のふたりが本作の主人公。彼女たちはともに落語好きな高校生です。そんなふたりは、寄席でばったり出会います。
さっそく意気投合して、高校に落語研究会(落研)を創設。落語オタクの梶浦雄太、矢来梢を加えた4人で、落語の素晴らしさ・面白さを伝えるために奮闘します。
高校生であれば、「落語」といえば伝統文化という捉え方をする人も多いでしょう。また、実際の落語会に行く機会が少ない人も多いので、聞いたことがない人のほうが多いのが現状です。
そのため、落語を演じる中でいろいろな失敗をします。そんな中で、悪戦苦闘しながらそれぞれがやりたいことを見つけていく過程が丁寧に描かれている点に好感が持てます。
本作は、落語を知らなくても楽しめる作品です。アフタヌーンのサイトでも1話目が読めるので、ぜひ読んでみてください。
【作品データ】
作者:秋山はる
出版社:講談社
刊行状況:全4巻