天使が与えるのは幸か不幸か!?『プラチナエンド』で神を決める!

【あらすじ】

大ヒットしてアニメ化・実写化もされた『DEATH NOTE』や『バクマン。』のコンビが贈る3作目は『プラチナエンド』!こちらもTVアニメ化されている。
今度は神・天使と人間を中心にすえた本作が最終回を迎えた。天使がついた「神」候補13名の戦いを描くファンタジーだ。

【みどころ】

まずは本作特有の設定を簡単に説明しよう。

・神候補に選ばれる人間は、生きる希望をなくした者や生きる意味を見いだせない者。
・13羽の天使が選んだ13名の人間の中から神となる者を選ぶ。期限は999日。
・ついた天使の階級によって、人間に渡せる道具が決まっている。
特級:翼、赤の矢、白の矢
1級:翼、赤の矢
2級:翼 or 赤の矢

翼はものすごく早く飛べるので、矢を当てられない。人間には見えない。
赤の矢は33日間、人に自分を愛させることができる。
白の矢は当たると即死。
こういう緻密なルール設定は『DEATH NOTE』を思い出させる。

さて物語は、自殺を試みた少年・架橋 明日(かけはし みらい)を特級天使のナッセが救ったことから始まる。
幼い頃に事故で家族を亡くしたミライは生きていてもしかたがないと思っていた。
しかし、頑張って同じ高校を受けた花籠 咲(はなかご さき)と思いがけず関わるようになる。

咲の天使は2級天使のルベル。なので咲は赤の矢しか持っていない。
そんな時、「メトロポリマン」という特撮ヒーローの戦闘服に身を包んだ神候補が出現。彼はどうもすべての神候補を殺して自分が神になるつもりのようだ。

バトルや駆け引きなどが緻密に描かれ、相変わらずの安定した画力にもうっとりさせられる本作。
ミライと咲は連携して戦うことにするが、そこへ突然「仲間に入れてくれ」とオッサンの六階堂(むかいどう)が現れる。
個人的にはこのオッサンが推し。彼はステージIVの癌を患っている中、家族のことを思ってメトロポリマン抹殺を計画しているのだ。

前半はメトロポリマンと他の神候補との心理戦が多いが、中盤では子供に振り回れされ、後半はノーベル賞受賞者だが破綻した天才タイプの米田との戦いとなる。
神はいるのか? それは米田の論ずる偽の神(クリーチャー)ではないのか? 死んだ後にはどうなるのか?
そんな哲学的な問答も交わされ、興味をそそられる。

最終的に神になるのが誰なのかは読んで確認していただくとして、本作の設定を生かした面白さを体感してみて欲しい。ちょくちょく図解が入るので、人と天使の整理もしやすいだろう。
六階堂がアパレル関係の仕事をしていたせいで、ミライと咲のコスチュームはやたらカッコいい。
メトロポリマンは所詮借り物だったこともあり。

そんな小さな気づきもありつつ、「人間とは」「神とは」「生きることとは」と考えさせられる作品だ。
天使が与えた道具をどう使うかによって人柄も浮き彫りにされる。
結局ミライの希望は人間としてごく当たり前のことだった。
今の環境に不平不満をこぼす前に、今自分がいかに幸せなのかを考えたくなる物語だ。

【作品データ】
・作者:原作:大場つぐみ 漫画:小畑健
・出版社:集英社
・刊行状況:全14巻