女性同士の恋愛(ガールズラブ)を描いた作品は、「百合」と呼ばれます。今でこそ広く知られるようになり、さまざまな人がカミングアウトするようになりましたが、周囲に打ち明けにくいものでした。
そのため、どこか繊細な感じのするそんな恋愛のような感じがします。そんな女の子たちの恋愛の一部を描いた短編集が、芥文絵先生の『妹ができました。』という作品です。2011年~2014年にかけて「つぼみ」と「ひらり」に掲載された読み切り作品に、描き下ろしが入って一冊の短編集になりました。
本作には、タイトルとなった『妹ができました。』の他、8編が収録されています。
- 妹ができました。
- 卒業の日
- そうして私たちは
- 私の好きなあの子のこと(前編)
- 私の好きなあの子のこと(後編)
- たゆみなく生きよ
- 私の愛する河野さん
- 姉ができました。
このうち、『姉ができました。』は描き下ろしで、『妹ができました。』の後日談的な位置づけです。
お互いが距離を縮めていく過程、今までと違う感覚に戸惑うさまなど、女の子の感情を緻密に描いています。どの作品も、ゆっくりと時が進行していくような感じで、絵柄も可愛く繊細なタッチで好感が持てます。
今日は家でおとなしく過ごしてます。朝から百合姫10月号とガレット19号を読んだ後、今は『妹ができました。』を読んでいます。ひらり、とつぼみに掲載された読み切りを集めた1冊なんだけど、芥文絵先生作品て、静かに繊細に進行しつつ、しっかり感情が描かれている。好きな絵で読みやすい。 pic.twitter.com/4NsyrQOLnT
— マイコー𓍯𓈒𓏸︎︎︎︎ (@mai_kooooooo) August 21, 2021
キスシーンは一部作品にありますが、性描写はほとんどなく、百合が初めての人や女性でも安心して読める作品です。
【作品データ】
・作者:芥文絵
・出版社:新書館(ウィングス・コミックス)
・刊行状況:既刊6巻