朗読にかける青春を描いた話題作! 『花は咲く、修羅の如く』

新型コロナウイルス感染症が世界的に流行したこともあり、音声SNSが大きく盛り上がっている昨今。朗読や落語、講談など声で表現する芸術の良さが見直され、朗読が身近なものになりつつあります。

マンガでは朗読の奥深さは伝えにくいですが、今回ご紹介する武田綾乃先生原作、むっしゅ先生が作画を担当した『花は咲く、修羅の如く』で、その奥深さや面白さを伝えるべくトライしています。

舞台は、人口600人ほどの小さい島・十鳴島。そこに住んでいる少女・花奈が主人公です。物語は、花奈が島で毎月行っている朗読会で、後に進学するすももが丘高校の放送部員である瑞希と出会うところから始まります。

主人公はもともと天才子役・西園寺修羅に憧れ、島の子どもたちに向けて朗読会を行っていた朗読好きな少女でしたが、放送部に入部して朗読の技術を学びながら、全国コンクールを目指していきます。

朗読に大切な声質は、持って生まれたものなので、努力だけではどうにもならないと言われている世界です。ドラマやアニメと違って、これを作画で表現することが求められますが、原作者の綿密な取材と朗読へのリスペクトが見事に表現されている一作です。

原作者の武田綾乃先生は、『響け!ユーフォニアム』など部活をテーマにした作品に定評のある文芸作家で、本作でも部活にまつわる人間関係や才能への嫉妬、憧れだけではやっていけない厳しさを見事に表現しています。

今後の展開も非常に楽しみです。

【作品データ】
作画:むっしゅ
原作:武田綾乃
出版社:集英社(ウルトラジャンプ)
刊行状況:既刊1巻