「百合(ガールズラブ)」といっても、いろいろなテイストの作品があります。作風は作者の志向などによってもさまざまです。当然、読者側の好みによっても、好き嫌いはわかれてくるでしょう。
筆者は長編の連載作も好きですが、それ以上に短編作も好んで読みます。特に百合の短編集は、いろいろな作風の作品を一冊で読めるので、読み応えがあります。その中でおすすめしたいのが、雨水汐先生の『きみのために世界はある』です。
表題にもなっている『きみのために世界はある』を含む、全6作が収められています。
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- 『きみのために世界はある』
- 『あらしが来たりて』
- 『フライデー・ナイトシネマ』
- 『シークレットクローゼット』
- 『Cast a spell』
- 『Jewel of love』
作品のテイストはさまざまで、ハッピーエンドになるものもあれば、結ばれないままのものもありますが、どの作品も揺れ動く繊細な心がしっかりと描かれた上質な百合です。
現在は連載作を持っている雨水先生の、連載を持つ前の読切作品がメインなので、絵柄はやや荒さを感じます。しかし、どのキャラクターも素直で、飾り気のない思いが伝わってくるので、心の動きを感じ取れる百合が好みの人におすすめできる作品です。
【作品データ】
・作者:雨水汐
・出版社:一迅社(百合姫コミックス)
・刊行状況:全1巻