29歳男女の問題だらけの日々を描いた恋愛マンガ『A子さんの恋人』

未婚・既婚に関係なく、誰でも何度かは人を好きになった経験はあるでしょう。どちらから切り出したかは別として、お別れした経験のある人も多いと思います。

日本の法律では、2022年4月1日から18歳で成人ですが、恋愛においてはなかなか大人になりきれない人が多くいます。そんな大人になりきれない男女の日常を描いた物語が、近藤聡乃先生の『A子さんの恋人』です。

主人公のA子は29歳のマンガ家で、漢字で書くと英子ですが、作内では「A子」と表記しています。そんな彼女には、NYへ旅立つ前に付き合っていて、日本に置き去りにしたA太郎とアメリカで付き合っていて、ビザの期限切れでアメリカに置き去りにした翻訳家のA君という恋人がいます。

本作の登場人物に共通しているのは、全員が29歳の男女ということ。日本の法律では立派な成人でありながら、みんなどこか完璧でないところがあり、それぞれの持つ人間くさい部分に共感できるストーリーです。

作者はイラストレーターが本職なのか、あまり背景が描かれておらず、絵柄もシンプルな感じがします。しかし、ストーリーは登場人物それぞれの視点で似たような場面が繰り返されている構成なので、登場人物の心理がよくわかり、筆者個人としては共感できました。

人間の思考に興味のある人であれば、共感できる場面も多い作品です。

【作品データ】
・作者:近藤聡乃
・出版社:KADOKAWA(HARTA COMICS)
・刊行状況:全7巻