マンガ大賞2012 授賞式レポート【その1】

 2012年3月23日、ヴァイオリンの音色と共に華々しく開幕した授賞式で〝今、この瞬間、いちばんおもしろいマンガ〟が決定した。

過去最多数となるノミネート15作品の中から、堂々の栄冠を手にしたのは荒川弘の『銀の匙 Silver Spoon』だ。連載当初から『鋼の錬金術師』で人気を博した作者が、次にどんな作品を手がけるのかと注目されていた。小学館の少年サンデーで連載中の青春マンガである(写真左は『銀の匙』担当編集者の坪内氏、右はプレゼンターを務めた『テルマエ・ロマエ』作者のヤマザキマリ)。

書店員を中心とした有志によって選抜される同賞は、2008年から開催が始まったばかりのまだ新しい賞である。しかし、マンガ界の直木賞とまで言わしめるその影響力は絶大。膨大な数のマンガ砂漠から砂金の粒を探し出す選考員の目に狂いはない。

授賞式では、過去大賞に輝いた先生方が特別ゲストとして出席し、式に華を添えた。

最初に登壇したのは、2009年のマンガ大賞受賞作『ちはやふる』(写真左)の末次由紀。司会者からこの賞は末次にとってどんな賞であったか訊ねられて、「巻数の少ないうちから、こんなに大きな賞からスポットをあてていただいて、それに相応しい作品にしていきたいという意欲が沸いた。この賞は、勇気をくれた大事な賞」と語った。

アニメ化されている同作については「とても面白くて、(千早が)とても可愛い。負けてられないと思う」と今後の作品作りに対する意気込みをアピールした。大賞受賞から3年、着々と巻数をのばし現在16巻まで刊行されている。

 元・百人一首の女王を知人に持つ記者としても、今後のストーリーのゆくえは大変興味深い。百人一首を通して駆けぬける青春を、力強く描いていって欲しい。

次に、2010年にマンガ大賞受賞した『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリが登壇した。ゲスト作家陣の中で自分だけが撮影許可を出していたことについて「日本の漫画界事情を知っていたら、私も〝謎の人〟で通したのに」と口にしたヤマザキは、カメラのフラッシュに笑顔で応えた。ヤマザキは現在、海外での生活をしながらマンガ家活動を続けている。

大賞受賞当時もポルトガルのリスボンに在住していた彼女は、当時のことを振り返って「突然仕事の依頼が来るようになって、何が何だか分からなかった」と語る。自分の本が本屋に並んでいる姿も見ていなかったため、著書がどれだけ売れているかの情報もほとんど分かってなかったと言う。また当時は、「忙しすぎて、編集部全員目の焦点が合っていなかった」と話し、会場の笑いを誘った。大賞を獲得してから「この賞が人生を変えた」と語るヤマザキの顔は、とても清々しい。

また、今受賞式は、初の試みとして「ニコニコ生放送」「Ustream」でも受賞式の様子が放映され、リアルタイムでファンの声が会場に届いていた。 降壇後、動画で視聴しているファンから「イイ声」「男前」などの声が寄せられ、可笑しそうに笑うヤマザキの声が会場を包んだ。

マンガ大賞2012 授賞式レポート【その2】に続く

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マンガ大賞2012は『銀の匙』に決定! (全ノミネート作品の順位と獲得ポイント数はこちらを参照)

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