1990年に「漫画アクション」誌上で連載が開始され、「まんがタウンオリジナル」や「JOURすてきな主婦たち」を経て2010年まで連載されていた作品が、今回ご紹介する臼井儀人先生の『クレヨンしんちゃん』です。
アニメ版が国民的人気を誇っていることもあり、臼井儀人先生の作品と聞けば本作を連想する人も多いと思います。ご存知のとおり、作者が2009年に事故で急死したのを受けて、遺稿掲載が終わった2010年3月号で一旦連載を終了。その後、元スタッフによる『新クレヨンしんちゃん』があとを引き継ぎ昨年で30周年を迎えました。
主人公は超マイペースな5歳の幼稚園児・野原しんのすけ。両親や周囲の大人、風間くんやボーちゃん、マサオくん、ネネちゃんをはじめとした園児たちが、彼の巻き起こす騒動に振り回される日常を描いたギャグマンガです。
絵柄は初期と後期とでは、大きく異なります。初期は目が小さく面長でしたが、段々と目が大きくふくれたような顔になります。印象としては、作者がアニメに寄せて描いていったという感じでしょうか。
本作は、子供向けの作品というイメージを持たれがちですが、一貫して青年誌に連載されています。しかし、子供がアニメを見ていることを意識してかお尻を出す描写は少しずつ減ってきています。また、前(股間部)を露出している描写もほとんど見られなくなりました。
クレヨンしんちゃんの面白さはいまさら言うまでもありませんが、主人公でもあるしんちゃんの言い間違いにあります。とにかく、一作の中にこれでもかというほど言い間違いが入っており、周囲の大人も一緒になって言い間違えている描写が見られます。
また、作品の世界観もその時々の流行や世相、作者の好みを取り入れている点も大きな魅力です。実際、連載初期・中期・現在では大きく異なるので、そのあたりの違いを見つけながら読み進める楽しさもあるでしょう。
普段はアニメで見ているという方も、たまにはコミックスを読んでみると違った発見がありそうですね。
【作品データ】
作者:臼井儀人
出版社:双葉社
刊行状況:全50巻