2012年2月9日、JR横須賀線・逗子駅前に現れた一人の男性。
ダンディズム溢れる容姿を警察官の制服に包み、ひっきりなしに写真や握手を求められるその人物こそ『賭博黙示録カイジ』『賭博覇王伝 零』などのギャンブル漫画で知られる福本伸行氏だ。
この日、氏は逗子市にある逗子文化プラザにて開催された「振り込め詐欺撲滅のつどい」に参加、逗子警察署署長から一日署長を委嘱された。つどいが終了したあとは逗子駅前に移動し、ボランティアらと共にチラシとティッシュを配布した。
福本氏は逗子にもほど近い横須賀市の生まれ。高校を卒業し、漫画家として身を立てるため上京するまで過ごしていたという。
氏の作品の多くは賭博を題材にしており、一見警察とは対局に位置しているように見える。しかし彼の描くヒーロー・カイジや零が賭博の世界に身を置いているのは正義を貫くためであり、その点でも福本氏の起用はふさわしいといえよう。
じつは福本氏の母のところにも振り込め詐欺の電話があったとのこと。自身を「お母さんっ子」だったと振り返る福本氏にとってはさぞ心配な出来事だったかと思うが、幸い、近所の人に相談することで詐欺に遭わずに済んだという。大切なのは一人で抱えこまないことだ。
ちなみにこのとき配られたカイジが描かれたチラシ、福本氏がこのために描きおろしたレアアイテム。インパクト充分なので、ぜひ全国版のポスターとして広くアピールしてほしい。