【あらすじ】
手芸クラフト作家の川乃の家に突然、結婚した姉の花乃が、娘・ここみをつれて帰ってきた。
まだ小さいここみのやんちゃぶりに振り回されながらも、川乃は、姪とのふれ合いの中に心のよりどころを見いだしていく。作品作りをしながら、ここみとすごし、充実した日々を送る川乃だったが、ふられた元彼・佐倉と再会して…。
【みどころ】
この作品には複数のテーマが見られます。
一番大きなテーマは、主人公・川乃と姪のここみのふれあい。
やんちゃをして、笑って泣いて日々大きくなるここみとすごしながら、川乃は自らも人として成長していくのです。
それと連なって描かれていくのは、クラフト作家としての川乃の奮闘。
身近にここみという小さな女の子が現れたことで、川乃は子供のための服や小物のデザインをはじめるようになり、少しずつですが作家としての道を模索していきます。
そして、物語の中でもう一つ見逃せないのが、川乃の恋の行方。
物語の当初、彼と別れたばかりで失意の川乃でしたが、ここみの保育園のバザーに参加して、元彼・佐倉と再会。
彼をまだ好きな自分を自覚し、彼に伝えられることができなかった想いを伝えられたら…と奮起していきます。
ただし、佐倉の今彼・ゆうかの存在もあり、なかなか踏み出せず、まだまだ、佐倉との距離は微妙。
仕事に恋に…迷いや悩みも日々多い川乃ですが、
いつでも彼女の心の救いとなっているのが、姪のここみの存在。
素直に笑ったり泣いたりするここみ。走りまわるここみ。
大好きな川乃のためにがんばるここみ。
小さなここみがこんなに一生懸命生きているんだから、
自分だって…と、川乃は小さな姪に励まされながら、
日々、奮闘していくのです。
タイトルの『リネンとガーゼ』ですが、
リネンはシーツなどに使われることが多い亜麻でできた布。
ガーゼは綿の糸をあらく織った包帯や肌着などに使われる布。
この物語の川乃とここみの触れ合いは、このリネンとガーゼのように、
人肌を癒す優しさに満ちているのです。
【作品データ】
・作者:あいざわ遥
・出版社:集英社
・刊行状況:3巻まで(続刊)