陽だまりの樹 (1) (小学館文庫)

初共演!上川隆也×吉川晃司『陽だまりの樹』舞台化

陽だまりの樹 (1) (小学館文庫) 過去4回もの舞台公演で人気を博してきたこの『陽だまりの樹』だが、今回も錚々たる役者陣での挑戦となる。過去の公演で中井貴一、段田安則が好演したW主演に、今作は上川隆也、吉川晃司が抜擢された。遊び人の蘭方医・手塚良庵を上川、堅物の武士・伊武谷万二郎を吉川が演じる。こちらもドラマ同様、敢えて相反するタイプの役者を選んだように感じられる。

今回「ストレートの演劇は初めて」と語る吉川と、「こういう(奔放な)役は、今まであまりやらせてもらえなかったので楽しみ」と語る上川は、同級生で今作が初共演となるそうだ。作品の手綱は、劇団キャラメルボックス出身の、名実共に実力派舞台俳優の上川が握ることになるだろうか。畑は違えど、舞台慣れした大スター・吉川の初舞台も華やかに違いない。

【作品のみどころ】
この作品の醍醐味は、史実と実在の人物を織り交ぜて描かれる、壮大な人間模様にある。歴史的背景を崩さず描かれたストーリーは、とてもフィクションとは言い切れない妙なリアリティを感じる。その巧みさは、主役二人のキャラクターにあるのかもしれない。

作者・手塚治虫氏本人の性格を反映したという手塚良庵は、手塚氏の曾祖父にあたる実在の人物である。対して、義のために生きた不器用な男・伊武谷万二郞は、手塚氏が漫画のために作り出した架空の人物だ。実在の歴史の中に実在した人物を描き、架空の人物をイキイキと絡める作風は、手塚氏だからこその面白さだと筆者は感じた。決して相容れることのない性格の二人が、正反対だからこそ認め合い、時に諍い、己の信念に殉じていく姿が、この平和な世にも失われかけた生き様を示す。

この『陽だまりの樹』は、商業演劇だけでなく各地の地方団体や小劇団が多く公演してきた作品だという。この作品の素晴らしさは、漫画界の巨匠・手塚治虫の名を差し引いても、その事実が物語っている。「観劇は敷居が高い」「面白いか分からないのに、チケットは買えない」と感じてきた方は、この機会にぜひ観劇デビューをおすすめしたい。きっと忘れていた感動を、その胸に呼び起こしてくれることだろう。

【上演情報】
■東京公演:2012年4月13日(金)~23日(月) 東京・サンシャイン劇場
■大阪公演:2012年5月4日(金・祝)~20日(日) 新歌舞伎座
■名古屋公演:2012年5月24日(木)~27日(日) 中日劇場
<キャスト>上川隆也、吉川晃司、他

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