大正ガールズ エクスプレス(1) (講談社コミックスキス)

乙女よ、凛として時代を駆け抜けろ!『大正ガールズエクスプレス』

大正ガールズ エクスプレス(1) (講談社コミックスキス) 「大正デモクラシー」という言葉があります。
これは、日本で大正時代を中心に起こった民主主義を求める思想や動きを表すもの。
大正時代は、日本において国民たちが自由をより強く社会に求めた転換期でした。
このデモクラシーの波は、日本の女性たちをも動かしました。
女性参政権を求める声が高まり、平塚らいてうらが新婦人協会を設立したのも、まさにこの大正時代です。
そんな時代ゆえでしょうか。大正時代を舞台に、強い意志を持って生きるヒロインを描く作品が漫画・アニメ作品でも見られます。
代表作はなんといっても、アニメ化もされた少女漫画『はいからさんが通る』(大和和紀)。
ゲーム、漫画、舞台などのメディアミックス展開が話題を呼んだ『サクラ大戦』など。
そして、今回、ご紹介したいのは、やはり大正時代を生きる少女たちを描いた『大正ガールズエクスプレス』(日下直子)です。

この作品は、華族の血をひくお嬢様・千世と貧しい漁村で生まれた少女・よし子の物語。
親の決めた相手との結婚を嫌がり、自立をしたいと願う千世。
貧乏な家の都合で売られそうになり、逃げ出して、女学院の屋根裏に暮らすよし子。

生まれも育ちも異なる二人の心をつなげたのは、「自由に生きたい」という思いでした。

彼女たちは、自分たちの道を切り開くべく諷刺画を描き、校内新聞を作り、奮起していくのです。

女性が好きな道に進むことがまだ許されなかった時代に、自分たちのできることをやろうと立ちあがり、戦った女性たちがいました。
日本で女性参政権が正式に認められたのは昭和20年。
その原動力となったのは、まさに自由を求めて時代を駆け抜けた千世やよし子のような乙女たちではないでしょうか。

そう、大正時代の凛とした彼女たちの強く美しい生き様こそが、今日の日本における女性の活躍への道を切り開いたに違いないと感じるのです。

【作品データ】
・作者:日下直子
・出版社:講談社
・刊行状況:2巻まで(続刊)

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