■自転車+オタク+熱血=???
どんな漫画であれ、スポ根ものの主人公は常に定義のようなものがあります。弱虫が努力と根性と負けん気で強くなり、そしていつかはみんなに認められる。……王道です、でも男の子はみんなこれが大好きです。
今回は世相を反映した“内向的なオタク少年”が自転車競技と出会い、勝つためではなく仲間のために戦う、そんなおすすめスポ根漫画『弱虫ペダル』を紹介します。
■弱虫ペダル紹介
孤独で内向的なオタク、小野田坂道は高校生となり、今度こそアニメ研究部に入りオタク友達を作りたいと願うだけの少年だった。毎週ママチャリで遠くの秋葉原まで通い続けた彼は知らないうちに異様な速度を身につけており、自転車競技に青春を賭ける同級生から勝負を挑まれてしまう。勝負後、走ることの楽しさに目覚めた坂道は自転車競技部に入部。先輩の鬼のしごきに耐えながら、ライバルたちと真っ向からぶつかり合う!
■スポ根にあるまじき主人公?
主人公は登り坂が得意ですが、それ以外は苦手という“クライマー”タイプ。でも彼の楽しそうに登る姿はいつも仲間を勇気づけます。ギリギリの状況になるほど笑いながら、鼻歌でアニメソングを歌いながら登る姿はなかなかシュール、かつ燃えるシチュエーションです。
スポ根の主人公としては地味で控えめ、天才性を欠片ほども見せないことから古いスポ根漫画好きならば設定だけで拒絶反応が出るかもしれません。……しかし、あえてそんな人たちにこそ、この作品は読んでほしいと思います。
主人公タイプが「自己主義の天才」から「全員主義の努力家」へ移行したとき、そこに見える熱さは、決して往年の名作スポ根漫画に負けないカタルシスを感じられるはず。もちろん彼に匹敵するほど、チームメイトやライバルも個性的な猛者揃い。この寒さ厳しい冬、読んでいるだけで体がホカホカする逸品です!
■作品データ
・作者 :渡辺航
・出版社 :秋田書店
・刊行状況:20巻(続刊)