理想のお嬢様を目指すお嬢様がここに!『晴れのちシンデレラ』

お嬢様に必要な条件って何でしょうか。容姿端麗、頭脳明晰、性格も良くて人望もあるのですが、隠しきれないお嬢様らしからぬ部分に悪戦苦闘する主人公を描いた作品が、この『晴れのちシンデレラ』です。

主人公の春日晴(かすが はる)は、お嬢様高校である百華高校の2年生。学友には「春姫(はるひめ)」と呼ばれて、尊敬の的になっています。ただし、祖父が油田を掘り当てる前は、山の中で暮らすほどの極貧生活。そこで培った毎日により、山の主である熊も一撃で倒すほどのパワフルな女の子でした。

……いえ、「でした」ではなく、パワフルなところや超人的な能力はいまだ健在で、長かった貧乏生活ゆえの生き方や考え方も、そのまま残っています。ですので、豪邸の庭で野菜や果物を育ててしまったり、普通の食べ物についつい感動してしまったりと、ハングリーな面が多々あります。

持ち前のパワフルな面と性格の良さが合わさって、人助けに至るお話もあります。もっとも、そこで正体を隠すためにオカメの面を被って“オカメ仮面”となってしまうのは、器用貧乏な発想の悲しさがあります。本物のお嬢様なら、もうちょっとスマートに装ったはずです。

彼女には、おそらく中学校3年生と思われる、弟の“あたる”がいるのですが、彼もまた令息になりきれない男の子で、姉ほどではないもののパワフルな面があり、彼がメインとなるお話もあります。それでも姉の桁外れさが目立ってしまうので、あたるは平凡に見えてしまうくらいで、本人にも超人的な能力の自覚は薄いです。

本作には他のキャラクターとして、春日家で働く執事の“じいや”や、メイドの御園(みその)、コックの藤咲(ふじさき)、さらに晴やあたるの学友なども多数登場するのですが、基本的に良い人達ばかりです。つまりはコメディ4コマでありながらも、誰かをけなしたり貶めたりすることのない、読んで気持ちの良い感じの4コマ漫画になっています。

竹書房や芳文社の4コマ誌では、ひと頃、単独の作品をよりすぐった(と言うか再掲載した)増刊号を発売していました。4コマ本誌すら休刊してしまう昨今では、そうした増刊号の発売もグッと減ってしまったのですが、この12月18日に発売したのが「まんがライフセレクション 晴れのちシンデレラ増刊号」です。

こちらも再掲載がメインなのは変わりないのですけれども、描き下ろしスピンオフ『シンデレラ☆スター』も収録しています。晴さんがアイドルになったらとの内容ですが、マイクを握りつぶしてしまうようなパワフルなところは隠しきれていません。

本作のメイン掲載誌だった「まんがライフMOMO」は2018年11月28日発売の、2019年1月号で終了してしまいましたが、同じ竹書房の「まんがくらぶ」に移籍して、2月号から連載を再開、隔月連載している「まんがライフオリジナル」、ショートストーリーを掲載している「まんがライフSTORIA」とともに連載が続くようです。お嬢様を目指して悪戦苦闘する春姫の様は、まだまだ続きそうですね。

【作品データ】
作者:宮成楽
出版社:竹書房(まんがライフオリジナル他連載中)
刊行状況:1~11巻(以下続刊)