3月10日発売の週刊少年サンデー(2010年15号)で、『金剛番長』の連載が大団円を迎えた。作者は鈴木央、連載期間は約2年4ヶ月におよぶ。作者にとっては週刊少年ジャンプからサンデーに移籍して『ブリザードアクセル』に続く2本目の完結作となる。
物語は現代の東京からスタート。法治国家とは思えないほど警察力が弱く、日本の支配をめぐって“番長”たちが武力を競うという極めて特殊な世界観になっている。居合番長、念仏番長、怪力番長……など登場する番長たちも個性豊か。
少年誌のバトル漫画にしては珍しく「キャラクターの成長要素」がほとんどなく、主人公の金剛番長は最初から一貫して最強キャラとして描かれている。2メートルを超える巨漢・コワモテ・人情に弱いなど、ヒーローとしては申し分ない。どんな強敵も策略も圧倒的なパワーで打ち砕く、実にシンプルなカタルシスが得られる漫画だ。
作者本人がジャンプ出身のためか、随所に王道少年漫画的な文法が見られるのも特徴。
・次々と新しい敵が現れ、強さがインフレ化していく。
・仲間の友情が奇跡を呼び込む。
・一般読者から募集した「番長」キャラクターが本編中に登場する。
これらは変化球の多い少年サンデーより、むしろ『キン肉マン』をはじめ直球ストレートを好む少年ジャンプに近い作風といえるだろう。番長バトル漫画なので暴力的なシーンは多いが、『ドラゴンボール』『魁!!男塾』で育った世代が子供と一緒にわくわくしながら読める、今どき珍しい漫画かもしれない。
コミックスは現在9巻まで発売中。アニメなどメディアミックス展開は期待しにくいが、骨太な王道バトル漫画として記憶にとどめておきたい。
【関連URL】
・WEBサンデー『金剛番長』紹介ページ (※試し読み可能)