『ほしのふるまち』を訪ねて(1)-01

『ほしのふるまち』を訪ねて(1)

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『ほしのふるまち』は、2006年から2008年まで小学館の週刊ヤングサンデーで連載された、原秀則の青春マンガである。現在発行されている単行本は全7巻。海辺の町・氷見を舞台に繰り広げられる「世界でいちばん優しい “再生” ラブ・ストーリー」だ。

この春、中村蒼と山下リオを主役にすえた実写映画も公開され、それに合わせて単行本1巻・2巻の特別版もコンビニ向けに発売された。

■ 『ほしのふるまち』コミックスを読んだ!

東京の進学校で留年が決まった堤恒太郎は、世間体を気にする母親のため、親戚が暮らす富山県の氷見ヶ丘高校に転校する。田舎の海辺の町で出会った少女・一ノ瀬渚は、同級生であり居候先の隣人でもあった。「俺は一生、輝くことはないんだろう――」と落ち込む恒太郎。しかし渚との出会いは、恒太郎の “明日“ を変えてゆく……

東京やと見えん星も…
場所が変わればちゃんと輝くんやね…

これはヒロイン・渚が、傷ついて泣いていた恒太郎を探し出して、語りかけるセリフだ。恒太郎を癒す最初のひとことであり、またこれからのストーリーを暗示する言葉でもある。

『ほしのふるまち』は、夢を追うことの葛藤そして恋愛を、まっすぐに見つめて描き上げた青春ラブストーリーである。いま受験生の人にも、学生時代を思い出して懐かしむ人にも、楽しめる一作であろう。
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■ 『ほしのふるまち』映画を観た!

<キャスト&スタッフ>

堤 恒太郎:中村 蒼
一ノ瀬 渚:山下 リオ
栗田 美奈子:児玉 絹世
その他:柴田 理恵、トミーズ雅(特別出演)
監督:川野 浩司
原作:原 秀則(『ほしのふるまち』小学館刊)

原作と同じように、さわやかな青春映画に仕上がっていた『ほしのふるまち』実写映画版。進路と恋愛という、誰もが一度は通って来た道の上で思い悩む主人公・恒太郎が、人間味溢れた田舎で傷を癒し、成長して、やがては自分の意思で明日を変えていこうとする様子が、あますところなく描かれている。ターゲット層は10~20代の若者だろうか。青春を懐かしむ40代にも見て欲しいところだ。

ちなみに地元の映画館は、高年齢層でほぼ満席。老夫婦連れ立ってという微笑ましい観客も多かった。そのためだろう、1番人気はダントツで柴田理恵の富山弁。秘密のケンミンSHOWなどに比べてかなりキツい訛りだったが、みな親近感を持ったようである。2番人気は氷見ヶ丘高校の校長役で出演した石井県知事。なぜか大受けであった。

余談だが、ヒロイン・渚は富山弁を喋らなかった。渚が恒太郎にかけるセリフも、標準語イントネーション。しかし完全にネイティブで喋っていたら(柴田理恵あたりのイメージね)、

東京でちゃ なーん星見えんがやけど、
場所な ちごたら ちゃーんと輝くがやねぇ

となっただろう。うん、地元以外に伝わらないことハナハダしいですね、うん…。

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■ 『ほしのふるまち』地元では…

氷見市観光協会の奥村さんによると、地元・氷見では映画撮影をたいへん歓迎。というのも、元々原作マンガの連載当初から「富山が舞台になっている」と話題になり、地元から声が上がって実現した映画なのだ。

恒太郎と渚が通う氷見ヶ丘高校のモデル・氷見高校は、特に協力的だったそうだ。撮影は授業のない土日におこなわれたが、渚が家庭の事情で退部した「ハンドボール部」(コミックではバスケ部)の部員は、3年を含むほぼ全員がエキストラとして出演したとのこと。

今回の映画撮影をきっかけに、照明や音響の仕事につきたいと進路を決めた生徒もいたそうだ。こんなところでリアルな青春が垣間見えるというのも、なかなか素敵なことではないだろうか。

そんな氷見には、コミックや映画のロケ地スポットがあちこちに点在している。
次回の『ほしのふるまち』を訪ねて(2)では、それらを巡ってみよう。

 

【関連サイト】
小学館コミック
よしもとアール・アンド・シー
氷見市観光協会
氷見市商工会議所

【紹介記事】
『ほしのふるまち』を訪ねて(2)
『ほしのふるまち』を訪ねて(3)

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