【あらすじ】
菌類ひしめく世界で生きる「きのこ人間」たち。菌類に支配された惑星で、牧人のアリアラと、王家である書記のエリエラは、部族を超えて結婚することになる。村では10年ぶりの生殖に沸き立つも、相性が合わず失敗。しかもエリエラは第三王女に想われていて、なんとかアリアラと離婚させようとする。しかし、「愛」で結ばれたアリアラとエリエラは、数々の障害を乗り越えて結ばれようとするが──?!
【みどころ】
まずは設定をよく読み込んでから読むと、「きのこ人間」のことがよくわかるだろう。生物や国家についても書かれているので、文字量はあるが、読んでおいて悪いことはない。牧人は平凡な村人、書記は王国の上級官吏、動物使いや衛兵、他の動植物たちもいる。
「きのこ人間」というだけあって、うまくきのこのデザインを活かしたキャラクターになっており、カサの部分がスカートになっていて、種族を見分けやすいのが特徴だ。また、体格も職業によって異なり、設定がうまく活かされている。
物語は、第三王女のわがままで、アリアラと結婚したエリエラがさらわれるという筋書き。生殖の相性が合わず、離婚を勧められる二人だが、「好きだから一緒になった」と言い、離婚を拒否する。きのこ人間は女子しかいないので、厳密に言うと百合漫画なのだが、それを感じさせない爽やかさと純粋さがある。
王族にさらわれたエリエラを救いに城へ向かうアリアラは、さしずめ王子様と言ったところ。もともと元気で狩りもうまく、縄の使い方も一番上手なアリアラ。牧人の種族の中でも一目置かれている存在だ。動物使いや衛兵との駆け引きもうまいのがみどころだ。
蜘蛛のような大きな動物にも屈せず、愛するエリエラを救いに行くアリアラ。果たして二人の運命やいかに?web掲載漫画のコミック化、とくとご覧あれ!
【作品データ】
・作者:村山慶
・出版社:太田出版
・刊行状況:全1巻