『死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々』


【あらすじ】
10代女子を中心に、人間のうまくいかない日常のツボをうまく突いた、オムニバスショート作品11編を収録。死んだ弟を蘇らせたい兄や、「え」でしか会話しない女子、27歳未婚をアピってくる佐々木さんや、意味不明なことを呟く男子など、こっちこそ「え?え?」なオムニバス作品集。この意味不明さがたまらない!

【みどころ】
「このマンガがすごい2015」オンナ編で1位を獲得した『ちーちゃんはちょっと足りない』の阿部共実氏の最新作。コメディのような、ホラーのような、説明不可能の心がざわざわと波風を立てる作品が11編収録されている。

『お前がどんな姿、形をしていようとも』は、イミフな降霊術で弟を呼び出し、「どんな姿形をしていようとも」会って抱きしめてやりたいと切望する兄の物語。しかしそこに現れたのはバケモノ……? 『一旦だけ一旦だけでも』は、とにかく何でも一旦拭きたい症候群にかかってしまった兄ちゃんが登場する。『ネコネコココネコネコネネコ』は、猫を飼ってもいないのに、やたら猫グッズを買い求めるネコ好き男子のお話だ。

とにかくどのストーリーも素っ頓狂で、1回読んだだけでは理解できないかも知れない。だからこそ何度も読み込んでしまい、阿部共実ワールドに引き込まれるという仕組み。日常はどうにもうまくいかない、いろいろおかしな事も起これば、おかしな人もいる。そんな事を感じさせてくれる摩訶不思議な作品集。

とにかくタイトルが長いので、背表紙では逆に目立つ。平積みしてあるほうがわかりにくいかも知れないが、絵が個性的なのですぐに見つけられるだろう。2015年の初読みにふさわしい(?)アバンギャルドな作品だ。

【作品データ】
・作者:阿部共実
・出版社:秋田書店
・刊行状況:1巻〜(以下続刊)