【あらすじ】
出版社に勤める吉田創太郎。恋人の麻里子に別れを告げられたが、その理由が理解できずにいた。
編集から営業勤務に移動となり忙しい日々を送っていた創太郎だが、出張先で後輩の夏菜から「そんなんじゃもてない」とダメだしをされたことをきっかけに、出張先でおいしいご飯が食べられるお店を探すようになっていき……
【みどころ】
この作品は『いつかティファニーで朝食を』のスピンオフ作品で、『いつかティファニー』の主人公・麻里子の元彼の創太郎が主人公です。本家『いつかティファニーで…』の麻里子が創太郎と別れて朝食探しをはじめたのですが、なんと、その創太郎もまた、麻里子と別れたことをきっかけに食に目覚め、出張先で一人で食べる「ぼっちめし」探しを始めるのです。
麻里子に「朝食を食べたいから別れよう」とふられてしまった創太郎。なぜ失恋したかわからず、麻里子への想いを断ち切れないでいました。そんな女性の心が理解できない創太郎ですが、彼は仕事でも、人の心をつかむ努力が欠けていたらしく、出張先で職場の後輩・夏菜から喝をいれられてしまいます。
女性に年齢を聞くのはデリカシーがない、出張先でファストフードでご飯を済ませるようではだめだと、夏菜は創太郎のだめなところをずばり指摘。「この店に行け」と札幌のフレンチレストランを紹介します。そして、その店の料理のおいしさに感激した時から、創太郎は変わりだしていくのです。
出張先で、自ら調べておいしい店に足を運ぶようになり、そのおかげで、出張が楽しくなり、行く先々でいろいろな人と交流ができるようになります。その中で、なぜ自分が麻里子にふられたのかも少しずつ悟り、失恋から立ち直っていくのです。
日本全国、各地へ出張に出かける創太郎ですが、彼の「ぼっちめし」が非常に楽しい。その行く先々の名物料理や人気店はリアルのものばかりなので、この本を読むと、行きたくてたまらなくなります。
そして、これから先の展開として気になるのが、創太郎の恋の行方。
この第1巻で、とりあえず失恋からは立ち直ったようですが、では、これから新しい恋をするのでしょうか?今、その可能性があるのは、何かと創太郎にお説教をしている後輩の夏菜ですが、まだまだわかりません。食の楽しみに目覚めていって、麻里子とよりを戻すなんてことはありえるので…しょうか?
出張先の「ぼっちめし」で男を磨く創太郎の成長と恋の行方に注目したいところです。
【作品データ】
作者:マキヒロチ
出版社:新潮社
刊行状況:1巻(続刊)