【あらすじ】
ビル警備員として働く女の子・翼は、引っ越し先でセクハラをしてきた管理人に蹴りをいれてしまう。住むところのなくなった翼だが、街中で出会った大輔に助けられる。かくして、大輔が大家をつとめる同じアパートの住人となった翼と、大輔、そして大輔の友人の青年・薫の３人のご近所づきあいが始まった。大輔に心惹かれる翼だったが、その一方、大輔を想う恋のライバル（？）の薫と微妙な距離の関係を築いていき…？

【みどころ】

大人女子とタイプの違う二人の男子の微妙な三角関係

『学校のおじかん』『君じゃなきゃダメなんだ。』など、10代向け恋愛作品で知られる田島みみ氏が、雑誌「Cocohana」で大人女子向け連載に挑戦したのがこの作品。空手が得意で警備員として働く元気な女の子・翼が二人の男性の間で揺れ動く物語です。

アクセサリーデザイナーを務めるクリエイター系男子・大輔。一見、チャラそうですが、素顔はフェミニン。嫌味なく女の子にやさしくできるだけに、会って間もない翼の心をすぐにつかんでしまいます。

一方、会社員として働く薫は一見、きちんとしていてそつのなさそうな男子ですが、その心の奥に大輔に対する口にすることのできない想いを抱えています。そのため、翼が大輔に近づくのを嫌うのですが、そうかと思えば「気持ちを伝えろ」と応援したり…彼の真意がはっきりわからず、翼は戸惑います。

翼が好きになったのは大輔でした。ただ、大輔は好きだった人を忘れられずにいました。大輔は翼の想いを受け入れずとも、やさしく受けとめます。そんな翼を支えたのは薫でした。そして、翼は薫と急接近していきます。

こうして、同じアパートに暮らす３人の男女の微妙な三角関係が展開されていくのです。

大人女子向け作品で、漫画家・田島みみ氏の新たな魅力が開花

田島みみ氏は、これまで「マーガレット」で『君じゃなきゃダメなんだ。』『青春ロケーション』など、ピュアな10代の少女のいわゆる「キュンと来る」系の作品が多かった作家さんです。しかし、購読年齢が上がった「Cocohana」での連載ということでか、この『東南角部屋』は、10代向け作品に比べて甘さ控えめに仕上がっています。

もともと作風が非常にかわいらしい作家さんなのですが、絵も「マーガレット」の連載のそれに比べてすっきりして、なおかつかわいらしさも失っていない感じがよいです。筆者は個人的には、田島みみ先生、この大人女子向け漫画のほうが好きだと感じました。

すでに完結しているこの作品。翼が最終的に選ぶのはどちらなのか、そして、大輔と薫は自身の想いにどう決着をつけるのか。この記事を読んで興味を持ったあなたは、ぜひ自身の目で確かめてみてくださいね。

【作品データ】
作者：田島みみ
出版社：集英社
刊行状況：全３巻（完結）