【あらすじ】
都内の私立中学に通う15歳の目黒美人(めぐろ・みと)。その名前とは裏腹に、顔面偏差値の低い非モテ女子。恋をしたい気持ちはあれど、外見へのコンプレックスや過去に男子に恋心をからかわれたトラウマから臆病になっていた美人だったが、クラスメイトのイケメン男子・国松のやさしさに心惹かれて、非モテ女子を卒業することを決意。国松との恋を目指す美人の挑戦が始まった!
【みどころ】
*前代未聞のヒロイン顔じゃない、でもとてもかわいいヒロイン
少女漫画の昔からのセオリーに「主人公はかわいい」というのがあると思います。設定上は、「もてない」「目立たない」「かわいくない」と描かれつつも、読み手からすると「いや、十分かわいいじゃん!」と突っ込みいれたくなる。
そんな少女漫画のセオリーをぶちやぶったのがこの作品のヒロイン目黒美人です。
まず、見た目がどう見てもヒロインではありません。
主人公の友達の中の三番手ぐらいに出てくるタイプの顔立ちの女の子。作品中で本人が自覚していますが、クラスに女子が20人いたら、おそらく18位前後。そんな見た目です。
*恋する乙女のかわいさは見た目じゃない
しかし、この作品を読んだ人はきっとこう思うでしょう。
「美人、かわいい!」と。
自分がかわいくないことをわかっている美人は、そのコンプレックスのため恋にとても奥手になっています。だから、リアルな恋愛をどこかであきらめて、かわいい自分を妄想し、恋愛ゲームに夢中になる日々を送っていました。
しかし、美人はクラスメイトのイケメン・国松に恋をしてしまいました。
国松を想う恋心が美人の心に火をつけます。
「ブサイクでも恋がしたい」
「自分に自信がほしい」
これまで「私なんて」と自分を卑下していた美人が、自分を変えようと心を決めます。
自分を変えるためにおしゃれを頑張ったり、国松に話しかけようとしたり…失敗もありますが、とにかく美人はひたむき。
恋のためにがんばる彼女を「ブサイク」とバカにすることなんて、とてもできません。
むしろ、こんなに真剣に恋に頑張っていて、なんてかわいいんだろうと、愛らしく見えてしかたがありません。
そう、かわいさって、実は見た目じゃないんです。
好きな人と話したいと思ったり、好きな人のために頑張ろうと思ったりする、その姿こそが何より輝くもの。
恋する乙女はいつだって、誰だってはんぱなくかわいいのです!
あいだ夏波氏の描くエンターテイメントは健在
この作品の作者は『スイッチガール!!』のあいだ夏波氏。
『スイッチ…』は、見た目はかわいいカリスマギャル、その素顔はオヤジギャル…という仁香が主人公で、仁香の潔すぎるオヤジっぷりがたまらない快作でした。
そのの後を受けて、始まったこの『圏外プリンセス』ですが、美人のひたむきっぷりがまたたまらなく心打たれ、連続ホームランになる可能性大。ひたむきに恋し、がんばり、そして泣く美人に筆者はすっかり魅了されてしまいました。これからも美人の恋の行方をしっかり応援していきたいと思います。
【作品データ】
作者:あいだ夏波
出版社:集英社
刊行状況:2巻~(以下続巻)