【あらすじ】
都市工学を学ぶため日本へやってきたポルトガル人留学生・マルタ。彼女は修士論文を提出したものの日本から離れがたく、滞在期間を延長してオンボロアパートに住んでいた。食欲旺盛でエンゲル係数高めのマルタだが、たまに日雇いのアルバイトをする程度なのでいつも金欠気味。それでもマルタはありあわせの食材を駆使して“美味しいもの”を作り、まったりと日本ライフを堪能するのだった……。
【みどころ】
かつてグルメブームを巻き起こした『美味しんぼ』のような“知識詰め込み型”ではなく、近年は“美女・美少女が美味しいものを食べる“系がグルメ漫画界のトレンド。『美味しんぼ』と同じビッグコミックスピリッツで連載されるこの『くーねるまるた』も、そんな時代の流れに沿った作品だ。
主人公のマルタちゃんは才色兼備、日本語が堪能で人付き合いもうまいという、一見すれば完璧超人。しかしとんでもない食欲のためかドジ(出先で旨いものを食べたら帰りの交通費がなくなった…など)をやらかすこともしばしばで、何より食事中の無邪気な笑顔がキュートすぎて憎めない。癒しオーラ全開のグルメ系美少女――設定年齢的には美女か――である。
作中に登場する食べ物に出来合いの料理は少なく、ほとんどがマルタの手作り。余った夏みかんの皮でマーマレードを自作してみたり、パンの耳をタルトに仕立ててみたり、手間はかかるけど意外に本格派で美味しそうだ。1エピソードは10ページ以下と短く、その大半がこうした調理シーンに費やされる。単行本には簡単なレシピも掲載されているので、その気になれば登場した料理を再現することも可能だろう。
お手軽クッキング漫画としてなかなか実用性があり、何よりマルタの前向きなライフスタイルを眺めているだけで元気になれる。主演の女優さえ探し出せれば『孤独のグルメ』『ワカコ酒』のようにドラマ化しても人気が出そうな良作だ。小学館公式サイトでは第1話を試し読みできるので、好みに合うかどうかぜひ確かめてみていただきたい。
【作品情報】
・作者:高尾じんぐ
・出版社:小学館
・刊行状況:5巻まで(続刊)